2014年8月24日日曜日
おはようさん 2014.8.23.
うなじの刺絡のことを書いたら、今日の土曜外来は刺絡の患者さんがたくさん再診されました。
手の十井穴刺絡、足の井穴刺絡、腰痛の委中刺絡と胃兪刺絡、肩こりの肩井刺絡、神経性食思不振&食道狭窄の不容刺絡・・・いろいろやりました。もちろん刺絡の数倍、今日も鍼をしています。
難治性&原因不明の顔面圧迫感の患者さんに手十井穴刺絡をしながら、思ったことがあります。
FBには「癌を**で治す」というコミュニティがたくさんあります。
私も試しにひとつのコミュに入ってみました。
そこは・・・まず医者不信の暴風雨が吹き荒れていました。
確かに抗ガン剤を使いまくる医者も悪いです。
私もそんな医者が大嫌いなのは、このブログを読まれている方々ならよく知っておられますよね。
でも、坊主憎けりゃ袈裟まで憎い・・・医者がすべて悪党だと決めてかかるのはどうかな?と思います。
なぜなら、たまたまかもしれませんが、このコミュは健康食品や「健*」系の雑誌で話題になっている食品や食養生などが新興宗教のように崇められている場面をよく見るからです。
抗ガン剤LOVEな医者は、確かにそのような食品や食養生については知らないし・・・知らないから、頭ごなしに完全否定してきます。(食品や食養生だけでなく、そういうものに興味を持った患者さんと家族の人間性も否定してくるから「患者と戦争状態」になるんやけど)
抗ガン剤とは関係のない、元々の家庭医こそが、製薬会社とも健康マスコミとも距離を置いて中立の立場に立ったアドバイスができるんじゃないかと思っています。
抗ガン剤や放射線療法、免疫療法などの「高度先進医療」が目の前の癌患者さんに本当に必要なのか?
必要だとしたら、最低限、どれをどれだけすればいいのか?
民間療法や食養生はどれがいいのか? 悪いのか?
ひとりひとりの癌患者さんとその家族に寄り添いながらのアドバイスができるのは、家庭医だと思います。
身近に医療という立場からアドバイスをくれる家庭医を持っていれば、ネットにあふれかえっている「癌を**で治す」という情報に踊らされ、殺されることもないでしょう。
私が「癌を**で治す」というFBコミュに興味を持ったのは、「鍼灸でも癌はよくなりますよ!」という情報を発信できるかもしれないな、と思ったからです。
でも・・・とてもじゃないけどムリだと分かりました。
鍼灸で癌を治す場合、最も大切な条件は「患者さんが素直であること」です。
盲信する必要などありませんが、絶えず恐怖と不安と不信の中に居たら、治るものも治りません。
この「素直さ」が残念ながらFBの「癌を**で治す」コミュには欠けているように感じています。
必死なのは分かります。
さんざん叩かれて、人間不信なのも分かります。
でも、もうちょっと懐深く、さまざまな情報をジャッジなしで受け入れてもいいんじゃないかな、と思っています。
鍼灸、特に刺絡は癌の治療によく効きますよ!
これをこれからどのように発信していくのか?
数多の癌患者さんたちの中の「こころが素直な人」へ上手く鍼治療のこと、刺絡治療のことが届きますように。。。
前世物語
私たちのハイキングはいつもハイペースです。二人とも走るのが大好きですから、まるで千日回向えこうの行者さんのようなペースで歩きます。それでも景色はしっかりと見ています。まわりの人たちから見ると二人で鬼ごっこをしているように見えるかもしれません。
お昼頃になると、さすがに娘の若さに負けてしまいました。私たちは秋晴れの空の下、のほほんと流れ行く鴨川を見下ろしながら、お弁当をいただきました。
「やっぱり運動はいいわね。気分がスキッとするわ。心の中に溜まっていたゴミがみんな吐き出されてしまったみたい。空気も美味しいし、言うことなし、だわね」
「あら、お母さんでも心にゴミが溜まるの? もう毎日が幸せいっぱいかと思ってたわ」
「そんなことないわよ。先生と一緒にワークに入っているとね、患者さんのネガティブなエネルギーをどうしてもかぶっちゃうんだから。患者さんがそんなエネルギーを開放してくれるのは、先生も私も大歓迎なんだけどね。ワークが終わってホッとすると、やっぱり心がしんどくなるの。先生なんか、右の頭が重い、といって頭をゴロゴロ振るんだから」
そう言いながら私は先生のマネをして見せました。娘も大笑いしながらマネしています。
「今のゴロゴロ、うちのゼミで流行らせちゃうからね。お母さんの先生ってね、公には誰も口に出せないけど、結構、心理の学生に読まれてるんだよ。私が先生のサイン本を持ってるのを、みんな不思議がって集まってくるんだもの。この前も院生のセミナーの打ち上げで盛り上がっちゃったんだ。ある教授なんかね、酔った勢いでね、こういう医者は『バカと天才は紙一重』の貴重な症例であります、なんて言ってたんだよ。でもね、なんだか好意的な感じがしちゃった。だってね、どんなに興味があっても教授には簡単には手を出せない分野だもの。なかなかワイス博士のような勇気は出せないよ、特に日本の学閥の中ではね。私ね、そんな先生がすごく身近にいるように思えて、なんだかとっても嬉しかったんだ」
娘はそう言いながら東山の空気を胸いっぱい吸い込みました。若さが私のジェラシーをくすぐります。
「そうそう、美穂は奥山先生の知りあいなの? って聞かれるとね、いつも私、こう答えることにしてるんだ。『ええ、未来のパパなの』・・・ウソウソ、そんな『社内秘』を漏らしたりしませんから、ご安心くださいませ。
それにしても『頭ゴロゴロ』の感じって私もわかるなぁ。試験勉強ばかりしていると何だか左の頭が重いんだもの。やっぱり頭を振りたくなるわよ。で、お母さんの先生はどうやってストレスを開放してるの?」