2014年3月4日火曜日

おはようさん 2014.3.4.

患者さんを診ていて思うこと・・・ よくなってくれると、うれしいです。 悪くなったり、辛いです。 あんまり変わらなかったら、悩みます。 ちゃんと薬を飲んだり、最低限の養生指導をしてくれなかったら、腹が立ちます。 来なくなったら、悲しいです。 しばらくして、また来たら、ツンデレです。 会う人 みんな 神さま どの患者さんも神さまが縁結びしてくれた大切な人なのですが、 やっぱり 好き嫌いが出ちゃいます。 だって、人間だもの ただね、ゆっくり&ぼちぼちやけど、嫌いな人が少なくなってきましたよ。 人生経験を積めば積むほど、 まっ ええか って許せるようになってくるみたい。 まっ ええよね って許してる自分を許せるようになってきたわけだ。 しゃぁないなぁ って許してる自分も何となく好きになってきて、 気がつけば、けっこう どの人も好きになっちゃったのです。 そしたら・・・ 神さまに近づいて来たねって 神さまが褒めてくれはった。めでたし めでたし。。。 前世物語 第三章    アルコール中毒 「美子さん、外が真っ暗だよ。こりゃぁ、ザーッと来そうだね。さっきのワークの人、帰りに濡れなきゃいいけどなぁ」 「もう駅に着くころだから大丈夫ですよ。ホントに外は真っ暗ですね。夕立も久しぶりですよね。今日の帰りはちょっぴり涼しいかなぁ」  ワークとワークの間の五分の休憩時間は、私が先生を独占できる唯一のひとときなのです。この時の先生の目はとても澄んでいます。そして先生の目の中に無限の宇宙が見えるような気がします。  雷鳴が遠くで鳴り始めました。ガラーンとした待合がいつもよりも暗く沈んでいました。私はうつむいた女性が待合の隅っこに座っているのに気づきました。 「下条ゆかりさんですか?」  私はゆっくりと近づいて尋ねました。顔色の悪い、小太りの女性が虚ろな目をあげました。 「はい。三時の予約の下条です。よろしくお願いします」  叩きつけるような雨が降り始めました。夕立に負けないように、私はわざと明るい声で話しました。 「東京から来られましたか? 新幹線ですか? 東京も暑いでしょうね。今年は水不足がひどいようですね。大丈夫ですか?」  でも彼女はすぐにうつむいてしまいました。  先生が準備オーケーのサインをくれました。私はゆかりさんを部屋へ案内しました。彼女は部屋の中を確かめるように見回してから、小さくなってチェアーの中へ滑り込みました。  私は部屋の明かりを落としました。  ゆかりさんは小さな声で私たちに身の上話を始めました。 「私はひどい家庭に育ったんです。父は私が物心ついた頃からアル中で、借金ばかりしていました。生活がとても苦しくて、小さい頃の思い出と言えば、借金取りが怖くて押入れの中でいつもビクビクしていたことです。母もそんな生活苦のためか、私を嫌っていました。よくいじめられて、ちょっとしたことで折檻されました。私は母を憎んで育ちました。そんな家庭が嫌で、高校を中退して東京へ出てきました。私は昼も夜も一生懸命働きました。貧乏はもう嫌だったんです。何年か後には、私は疲れを忘れるためにお酒を手にしていました。子供の頃あんなに憎んだはずのお酒に、です。もう私に過去はありませんでした」  彼女はハンカチを握りしめました。 「そんな私でも恋をして、そして結婚出来ました。これで幸せが来る、お酒から逃げられる、私はそう思いました。でも、やがて夫が借金生活するようになりました。返済の催促の電話を取った時に、私の子供時代が蘇ってきました。あの恐怖、あの悔しさ・・・」