2013年12月2日月曜日
おはようさん 2013.12.3.
紅葉もインフルエンザの予防注射も終わって、12月をしみじみと感じた月曜外来でした。
半年間、ずっと鍼を続けてくれている認知症の患者さんたちも、どこにいっても治らなかった疼痛などの難治性疾患の患者さんたちも、みなさん良くなってきているのがうれしいですね。
良くなったというのはエビデンスも科学的比較検証もありませんが、途中で鍼をやめてしまった患者さんたちがそれなりに症状や気色が悪くなっているのをみていると、やっぱり鍼が効いているんだねって思います。
特にここ数ヶ月で鍼の効果が出てきているのは、こころの病気、それもパーソナリティ障害と診断されていた「困った人」たちです。
去年までの私だったら初診の段階で、精神科専門医で診てもらいましょうね、と手出ししなかった患者さんたちです。もちろん今でも全員を診ているわけではありません(境界型はさすがに・・・ムリです)が、頻回に通院加療してくれている患者さんたちの表情や精神症状は明らかに改善しています。
こころの病気も身体の病気も、突き詰めていけば、肝火上炎か肝欝気滞に行き当たるのは現代病の特徴でしょう。そして、幼児からお年寄りまで(そして私も)腎が冷えています。
それはまるでパソコンがあふれくる情報を精一杯に処理しようと加熱して、冷却ファンがブンブンうなり声をあげながら回っているようにも思えます。
老若男女、みんなムリを重ねているのですねぇ。
ディズニーランドを思い起こしてみてください。
西洋医学とお薬は、お掃除キャストをどんどん増やしていくことで、ゴミひとつない夢の国を作ろうというモチーフです。もう至る所にキャストが待ち構えています。特に人気アトラクションの生活習慣病や風邪のまわりにはキャストの方がお客さまより多いんじゃないの?って思えるほどです。
鍼治療は、すべてのお客様のこころの中に、ゴミを出さない、捨てないで持ち帰るという気持ちを起こさせましょうというモチーフです。お掃除キャストは要りません。もしゴミが落ちていたら、お客さまがサッと拾って持ち帰ってくれます。だって、その方がみんなが気持ち良いからね。
川を流れてきた病気を川下に向かって追いかけていくのか、川上の源流に向かって上っていくのか、の違いですね。
新型インフルエンザを鍼医者さんたち、漢方医さんたちはあまり恐れていません。
西洋医学のドクターたちは戦々恐々なのにね。
なぜなら、新型だろうと旧型だろうと、患者さんを診て、やるべきことは同じだからです。
新型だろうと旧型だろうと、身体は治ろうとします。
鍼も漢方もその自然治癒力を高めてあげる、身体が治ろうとするのを助けてあげるだけです。
鍼でも漢方でも治らない人はいます。でも、治る力のある人は治ります。
西洋医学は新型と聞いただけでパニックになります。治る力のあった人も・・・おそらくダメになるでしょう。
日本には幸いにして西洋医学も漢方鍼治療もあります。
1/4の奇跡みたいに、例えものすごい未知なる病気が地球規模で流行っても、日本人は生き残れます。
多様性とは生き残りのためのすばらしいセーフティ機能なのです。
それを具現化できている日本って、ほんとにすばらしいですよね。
<昨日の続きです>
準備が出来ると、私は患者さんに尋ねました。
「そのポジションで腰は痛くありませんか? 響子さんですね? では、これからワークを始めましょう。今日は何の過去生を見ようと思って来られましたか? 何を解決しようと思って来られましたか?」
「はい、ええっと・・・私は先日の列車事故で・・・主人を亡くしました」
申し訳なさそうに、悲しそうに響子さんは答えました。それは泣き尽くして心が消えてしまいそうな声ではなく、何かこれから彼女の人生に起こる恐ろしいことに戸惑い、脅えている様子でした。私は彼女が言葉を続けるのを待ちました。
「あのぅ・・・私は一年前に再婚しました・・・お互いに子供を連れていました・・・主人の子が二人、私の子が二人いるのです」
彼女は涙声で続けました。手のハンカチをギュッと握りしめています。
「主人が亡くなってすぐに、私が育てるって決心しました。今でもそう思っています。でも、やっぱりたった一年の家族だったので・・・」
彼女は涙を拭いながら、うつむいたまま続けました。
「だから・・・自信がなくって、でも、だからといって、あの子たちを手放す気など全然ないのです・・・」
彼女はしゃくり上げながら続けました。
「なんて言ったらいいのか・・・なんて・・・どうがんばったらいいのか・・・主人がいてくれたらなぁ、と思ってしまいます」
彼女は声を上げて泣き出しました。私はそのまま心が落ち着くのを待ちました。
「ごめんなさい。いつもまとまらないのです・・・」
「すると、今日は亡くなった夫に会いたいのですか?」と、私はテーマをまとめてみました。
「ええ、会いたい、って言うよりも、なぜこんなことになってしまったのだろう・・・その訳を知りたいのです」
彼女の心がようやく泣きやんで答えてくれました。
「私、秋田で育って、ずっと住んでいました。主人とはネットで知り合って、とうとう関西まで嫁いで来たのです。たった一年の思い出しかなくって、どうやって子供たち四人をこれから育てていけばいいのか、分からなくなったのです。それと、なぜ主人に出会ったのか、こんなことになるのに・・・主人と出会った意味を知りたいのです・・・」
<明日に続く>