2014年7月13日日曜日
おはようさん 2014.7.13.
今日は京都観世会館の「夏の素謡と仕舞の会」を楽しんできました。
お目当ては去年、あるプライベートな茶会で謡った「養老」です。
いつもの能の会の時も思うのですが、お客さんの年齢層が高すぎます。
超高齢者ゾーンが半分以上を占めているんじゃないかしら?
私で若い方ですからねぇ。
能楽を支えているお年寄りたち・・・あと10年もしたら・・・いなくなる(かもしれない)ファン層です。
イケメン若手狂言師さんが主催する狂言の会に何回も通っていましたが、狂言の方は若い~中年~高齢の、主に女性のお客さんたちで超満員です。
イケメン狂言師さんのMCも上手だし、前説もちゃんとしてくれます。
わかりやすさ・・・わかるように色々と心砕いてくれています。
面白さ・・・やっぱり笑えます。
ただ、人気の面で、狂言がこれだけ趨勢を期しているのは、やはり若手狂言師さんたちの努力のたまものだと思います。
若手能楽師さんたちもがんばっているのはよく知っています。
イケメン度は能楽師さんの方が上じゃないかな。
では、なぜ若い女性に人気がないのか?
越えるに越えられぬ一線が・・・能にはあるのです。
それを越えてしまったのが狂言です。
確かに越えてはいけない一線は大切でしょう。
でも、絶滅危惧種になってしまえば、もうブレークするパワーはなくなってしまいます。
いいのかしら? それでいいの?
観世会館からの帰り道に、いつもそんなことを危惧しています。
まじめ路線のままでも、できることはあります。
例えば、蜷川幸雄さんに演出&舞台設定をしていただく・・・3次元、4次元に拡張する蜷川さんの能舞台を観たい!
シェークスピアの連作のように、能の演目を年に2つでも演出していただけたら・・・世界の演劇界がアッと驚くタメゴロウ 間違いなしです。
そして、演劇ファンの若い~中年女性がドッと押し寄せます。
そんな雑談を深野師匠としたこともありましたが、立ちはだかるのは「一線」です。
構造改革! 日本をぶっ壊す! なんて威勢の良い言葉に踊ったこともあったこの国ですが、
どの世界にも、まだまだ立ちはだかる「一線」が無傷のままで根を張っているのですね。
前世物語
「動物です・・・鹿と見合っています。角のしっかりした大きな鹿です・・・私が鹿に倒されています。私は横向きになって、その上から鹿が私を見つめています」
「その鹿は何と言っていますか? 心の中で聞いてください」
彼女の心は鹿の魂と通じることが出来ました。鹿が言いました。
「わかったか?」
「あなたは何と答えましたか?」
「わかりません・・・鹿は『わかったか?』と言って去って行きました。私は倒れこんだ姿のままで夜空のきれいな星を見つめていました。『これで終わりだ』と思っています。静かに目を閉じています。
これで死んだような気がします」
「その時、何を思いましたか?」
「その通りだと思いました」
私には何が何だか、さっぱりわからなくなりました。ただ、彼女と先生の間に流れているエネルギーは決して嫌な感じはしませんでした。私はそのまま見守ることにしました。
「ジェロニモさんの人生で一番幸せな場面に戻ってください。何が見えますか?」
「三十才の頃です。娘とテントの中にいます」
「その娘の名前は何と言いますか?」
「リナです。黒い髪で目は茶色です。愛しい大事な娘です」
「そのリナちゃんは、今のあなたが知っている人ですか?」
彼女はしばらく考えてから、ちょっぴり残念そうに答えました。
「わかりません」
「テントの中で何をしていますか?」
「向き合って・・・楽しそうに笑いながら話をしています。話の内容はわかりません。今、妻はいないようです」
「その日の夕食の場面にまで進んでください。そこに誰がいますか?」
「おじいちゃんが見えます。酋長です。偉い人です」
「酋長さんはどんな人なのですか?」
「黒い目をしています。ともかくすごい人なのです」
彼女には表現しきれないような偉大な酋長のようです。
「その酋長さんは、今のあなたが知っている人ですか?」
「わかりません」
「他には誰がいますか?」
「若いインディアンがいます。血の繋がりはありませんが同じ部族の若者です。仲間です」
「その仲間は、今のあなたが知っている人ですか?」
「亡くなった弟のようです」
「他には誰かいますか?」
「酋長の妻か娘が見えます」
「その人は、今のあなたが知っている人ですか?」
「私の母親です」
「他には誰かいますか?」
「私の子どもです。男の子です」
「その子の名前は?」
「ユリと言います」
「ユリは、今のあなたが知っている人ですか?」
「私の兄です」
「他に誰かいますか?」
「私の母親が見えます」
「その母親は、今のあなたが知っている人ですか?」
「知っている気はしますが、誰だかわかりません」
「他に誰かいますか?」
「さっきとは別の若いインディアンの男がいます」
「その人は、今のあなたが知っている人ですか?」
「太郎君(仮名)です」