2014年7月12日土曜日

おはようさん 2014.7.11.

「こんなん するんやってぇ」と刺絡の成書に載っていた吸角の写真をスタッフと見ていて・・・ 「そういえば、これ あったんちゃう?」 そうでした! 6~7年前の舌癒着症のオペを始めた頃のお話です。 向井將先生の手術方法では、舌をひっぱって固定するために、舌先に1針かけるのですが、その痛みがオペ後もかなりの間、残るのが気になっていました。 そこで何とか1針かけないで舌を固定できないか? と思案して医療器具カタログを見渡しました。 「おっ! これで引っぱろう!」ということで、吸角を1個買って・・・実際にやってみると、全くダメでした(;^^)ヘ.. 吸角はお蔵入り。。。 年度末の大掃除の度に「先生、これ、処分しますか?」「まっ(そのうち役に立つこともあるやろうから)置いときましょう」で手術道具棚の中で静かに眠っていました。 今朝、道具棚の中を探してみたら、ありましたよ! 新品同然のままの姿で! 「でも、これを使って刺絡するような患者さんは・・・いないよなぁ」 ところがどっこい! いつもの患者さんが来られて、腹診すると、何と不容(ST19)に酷い実熱邪が!! すべてがタイミング良くスムーズに流れている時は、まさに「駆け抜ける幸運の神さまの後髪をつかんでいる!」状態です。 これを逃しては一大事です。 実熱邪の不容をチョンチョンと浅く刺絡して、吸角を付けて、手動ポンプで陰圧に引きました。 ・・・出ます 出ます 黒い血がわきあがってきます・・・ 血に赤みが戻るまで刺絡して・・・患者さん曰く「胸が軽くなりました」 (*^^)v 人生の経験にムダはありません。 失敗した、ダメだった、せっかく勉強したのに&買ったのに・・・と、その時は思い悔やみますが、落ち込まないことです。 7年前に吸角を買ってなかったら、神さまが投げてくれた今日のチャンスを打ち返してホームランにすることはできなかったでしょう。 もしかしたら、このままずっと吸角には手出ししなかったかもしれません。 (実は・・・先週、刺絡の成書を読んでいて、「吸角ねぇ・・・これはやらんやろうなぁ」と諦めていたのです) もちろんこれまでの通り、不容の鍼も使います。 現に、今日も何人かの患者さんの不容に鍼をしましたから。 鍼は氣の病に 刺絡は血の病に (灸は津液の病に?) もちろん現実には氣&血 入り乱れての病気ですので、そこは上手に鍼・灸・刺絡を使いこなせれば、もっともっと病気を治すことができるぞ! と思っています。 前世物語 「ねぇ、先生、そのお話はよくわかったわ。それで先生のことだから、HGHをまず自分の身体で試してみるのでしょう。でもね、先生だけ若返っちゃったら同い年の私はどうなっちゃうの? ね? だから今回は一緒にしましょうよ。先生がHGHを始める時は私にもHGHを始めてちょうだい。費用は私のお給料から差し引いてくれていいから。先生だけ若返っちゃうのはずるいわ。それに副作用を見るのだったら一人より二人の方がわかりやすいでしょう?」  私は自分で言っていることが支離滅裂になっているのがわかっていましたが、ここは熱意のドリヴルで中央突破を計りました。そうでも言わないと、先生は絶対に私にギャンブルさせてくれませんから。先生は急にとても優しい顔になって答えました。 「うん、わかったよ。今、私は筋肉マン作戦でドーピング・ダイエットをしているから、それが一段落ついた頃にHGHを始めようと思っているんだ。これはお約束します。だって美子さんの寝顔、初めて見せてもらえたもの。もういつ死んでもいいや、と思ったもの・・・」  昨夜、先生は馴染みのコンシェルジェさんに電話したかと思うと、そのまますぐに私と私のパソコンを抱えてこのホテルへ連れてきました。タクシーの中でもずっと話し続けていたので、私ったらドキドキすることさえ忘れてしまっていました。 「あなたって、いつもこんな手を使うの? まるでフランス人だわ。そう言えば、どうしてだかわからないけど何度もフランス語に挑戦してしまう、って言ってたわね。きっとあなたの過去生にフランス人の大悪党がいたんだわ。きっと町々の最高の女たちを泣かせてばかりいるような悪い男だわ。でも大人の女って・・・そんな奴を憎めないのよね」  そんな思いが一瞬、心に浮かびましたが、私もすっかりマドモァーゼルに変身していました。  先生ったら、このホテルでは有名な方のようです。革ジャン、革パンツのバイカーの正装でフィットネスに通っていれば確かに目立ちますけど。チェックインなしでそのままお部屋へ案内されました。見事なスゥィートでした。 「あなたったら何する気なの?・・・ちょっぴりウフッだけど」  テーブルにはお饂飩うどんとおにぎりが用意してありました。なんという段取りなのでしょう。でも、彼の良さは絶対に二枚目にはなれないところです。きっともうすぐボロを出すことでしょう。  それにしても、話し続けてクラクラしていた頭に温かいお饂飩はごちそうでした。 「受験生の頃を思い出すね」  二人して同時にそんな思い出話をしたものですから、お腹を抱えて大笑いしちゃいました。 「HGHがなくっても、私たちってもう若返ってるんじゃないの?」 「そうだよ、笑いに勝る治療法はないからね。笑いが一番だよ。ノーマン・カズンズが・・・」  そう言いかけて、頭を掻きながら先生はもっと大笑いしました。自分の話がすぐに脱線するのが面白かったのでしょう。  ルームサービスさんがコーヒーを持って来てくれました。私たちはその日のワークの議論を再開しました。でも何だかホッとしたのでしょうか、もう私には先生に噛みつく気力は萎えてしまっていました。私たちはソファーに座ったまま、ワークについてのいろいろな話を夜遅くまでしていました。とても眠くなって、先生に手を振りながらシャワーを浴びに行ったことまでは覚えていました。  朝、大きなベッドの中で明るい光に包まれながら私は目覚めました。先生はソファーで眠っています。彼もシャワーは浴びたようです。ガウンのまま毛布をかけて高いびきです。私は裸のまま、大の字に伸びをしてお日さまを受け止めました。  おひさまが照らすサイドテーブルに先生のメモがありました。 「七時になったらフィットネスへ行こうね」