2014年1月16日木曜日

おはようさん 2014.1.16.

今日は外来後に、先日、肺炎とイレウスで入院したお年寄りたちを病院連携システムで往診してきました。 顔を見るなり「よぅ来てくれたぁ」と涙を流されて・・・うれしかったですねぇ。 家族の一員のようになれて初めて家庭医なんだなぁ。 普段からかかりつけ医に通っているお年寄りは決して孤独死なんかにはさせません。 通えなくなれば在宅診療のシステムで定期的に診に行けます。 それなのになぜ孤独死が多いのか? ある程度、お金を持っているお年寄りは自己負担が2割になっても医院に通えます。 生活保護のお年寄りは自己負担がないので医院に通えます。 問題は国民年金だけのお年寄り・・・かな? 夜のスーパーで半額シールが貼られるのを待っているお年寄りたちの姿を見ると、ニッポンの国民総幸福度はとても低いんじゃないかなって哀しくなります。 生活保護になれないお年寄りたちが孤独死へと追い詰められているように思います。 だのに、ポン!とODA何百億円を振る舞いまくってるニュースが聞こえてくると、思わず バルス!と叫びたくなります。 在宅往診してる、あるお年寄りは行く度に「何もええことあらへん。早う死にたい 死にたい」と呟きます。そんなお年寄りに「長生きしてたら東京オリンピックが見られるよ」って言ったって喜ぶでしょうかねぇ。 それよりは「消費税10%になるけど、毎日の食品は消費税ゼロになったし、医療費もタダになったから、ちょっとは暮らしが楽になるよ」って言ってあげる方が喜ぶんじゃないかなぁ。 明日がバラ色に、とまではいかないけれど、まっ暗な夜空に今夜のような小っちゃいけれど満月さんが昇ってきたような幸せを感じてもらえるんじゃないかなぁ。 今夜は満月さん。 そんな満月さんに「みんなが幸せになるのはムリだけど、せめてもっとたくさんの人たちが幸せになれますように」と祈った帰り道でした。 妄想日記 そこに居るはずの君は・・・本殿の右壁に背中からもたれかかるように静かに坐していました。 君のまわりにはとても力強い清気が感じられました。 それは三台杉に流れていた清気です。 このわずかな時空旅行の間、あの巨木たちが君をしっかりと守っていてくれたのです。 君は再び呼吸を始めると、ゆっくりと眩しそうに目を開きました。 君の笑顔が戻って来ました。 「おかえり」 「ただいま」 君の掌にはひと握りの藻塩が。 そして君の肩にかかっていた天女のストールが摩陀羅神さんの吐息にフワッと揺れて虹色に輝きました。 この日、後戸の神々が再びこの世に放たれたのでした。 前世物語    交通事故 「先生、今日の患者さんは、一年前に息子さんを交通事故で亡くされたお母さんです。息子さんの形見も一緒に持って入っていいですか? と聞かれましたので、かまいませんよ、と言いました。とても楽しみにされています。先生もがんばってくださいね」  先生は報連相さえしっかりとしていれば、とても自由に仕事をさせてくれます。現場での私たちクルーの判断をとても大切にしてくれています。プラス思考での失敗は絶対に責めません。ただし、当院でプラス思考の失敗の王者チャンピオンはやっぱり先生です。そもそもこの過去生ワークだって失敗の積み重ねの上に成り立っているそうですから。先生の宝箱には、お蔵入りしてしまった水晶玉やハーブ類、怪しげな器械が眠っています。 「そうだね、今、生き残っているのは、過去生ワークとフラワーレメディ、アーユルヴェーダの脈診、フェルデンクライス、リフレクソロジー、エネルギー治療・・・なんだ、結構生き残ってるじゃないの」 「でも先生、日の目を見なかったものや器械はその何十倍もあるんでしょう?」 「うん、まぁ、そうだよね。でも今は眠っているけど、いつの日にか奇跡の復活が起こるものもあるかもしれないからね。過去生だって当初はいろいろなセミナーやワークショップに行ったもんだよ。今から思うとかなり怪しげなものもあったなぁ。でも、ひとつの気づきがあるんだ。どんなにつまらないセミナーにだって、自分がそのセミナーにいるということに何か学びが隠されているんだよ。それを見つけなきゃね。本当に必要のないセミナーには不思議と時間が合わないとか、急用が出来るとかで行けなかったもの。  これはうちの過去生ワークでも言えることだよ。本当に必要のない方は絶対に来れないよね。去年一年間だけでも、火事が二件、直前のケガ、骨折が数件、当日の飛行機に乗り遅れた人が数件、この中の一人なんか、空港で仮眠していて乗り損なったらしいよ。こういう方々はまだ過去生を見る時期ではなかったんだろうね。  逆に、キャンセルを運良く拾った方はいつもよりも成績がいいよね。キャンセルはタイミングが勝負だろう。キャンセルを拾おうと一生懸命電話をかけてきてくれる方々でも、ちょっとしたタイミングのずれで拾えないものね。それでいて、初めて電話をかけてくれた方が仕留めるなんてことはよくあるもの。これも一種のシンクロニシティだろうね。  それに『遅刻の法則』も有名だよね。遅刻される方はなぜだか成功率が低いんだ。遅刻と言っても五分とかの遅れで、それで気が動転して、のせいではないと思うよ。自分の心のどこかに『気が進まない』があって、それが遅刻を引き起こすのかなぁ。これは大阪近郊の方に多いね。ともかくギリギリに飛び込むのは避けた方が良さそうだね」  始まりを告げるチャイムが鳴りました。  お母さんは形見の品々が入った紫色の袋を抱いて診療室に入ってきました。私はお母さんをゆっくりとリラックスチェアーに寝かせました。紫の袋はお母さんの左側に置きました。お母さんは目を閉じました。先生に促されて、お母さんはそのままいきさつを話し始めました。 「私には二人の息子がいました。兄は純一、弟はサトルと言います。去年の夏の暑い日でした。夫の会社が倒産したり、私の母が脳卒中で倒れたり、とても苦しくて辛い日々が続いていました。夏休みなのにどこへも連れて行けなかったので、せめて半日だけでもプールに行きましょう、と言って子供たちを連れていきました。子供たちも我慢してくれていたのですね、とっても喜んではしゃいでいました。サトルはもともとお調子者で、暗く落ち込んでいた私たち夫婦をいつも元気づけてくれていました。今から思えば、サトルはその日、異常なほど陽気でした。私をいっぱい笑わせてくれました。帰り道、サトルは風船をもらいました。黄色の風船です。サトルは風船が手に吸いついたようなジェスチャーをして私たちを笑わせ続けてくれました。黄色い風船が本当にサトルの友達のように見えました。サトルの笑顔が・・・」お母さんは涙声になりました。 「電車を降りて、もうじき家が見えるね、って話していると、スッと黄色の風船が空に上り始めました。 サトルの手から風船がサヨナラするように離れたのです。あんなにしっかりと握っていたのに。サトルは走り出しました、黄色の風船を追いかけて。私たちが止める間もなく交差点に飛び出して・・・」お母さんは涙を拭きました。 「私は呆然として立ち尽くしました。車の向こうにサトルが倒れているのはわかっていましたが、でも私は黄色の風船が夕焼け空に消えていくのを見つめていました。それがサトルのような気がしていましたから」  交通事故のお話はいつ聞いても悲しくなります。 「神様、先生をしっかりとお守りくださいね。美子のお願いです」  私の心はいつしか静かにお祈りしていました。  先生が誘導を始めました。 「サトル君との関係がもっともよくわかる過去生へ戻りましょう」