2013年4月24日水曜日

おはようさん 2013.4.24.

中医学の診察は、望診・問診・脈診・舌診・腹診があります。 西洋医学の外来にない診察は、望診・脈診・舌診・腹診です。 望診とは、まずパッと見た直感で始まり、顔診をします。 この時点で、エビデンスもクソもない直感的な診察です。 でもこのパッと見の直感がとても大事なことは、競馬のパドックで証明されていますよね。 天下のNHKでさえ、パドックを大写しで中継してはるもの。 いくらデーターが良くても、毛並み・目力・歩き方・・・とても直感的ですが、長い歴史と無数の経験値が証明してくれています。 長い歴史と無数の経験値?・・・これって中国4000年の漢方そのものですよ。 馬も人間も生き物同士。 人間だって、今日のその人は、身体が元気か? こころが元気か? ポジティブかマイナス思考か? 何となくわかっちゃいますよね。 だから、患者さんが入室してくるところから診察が始まります。 「おはようございます」の一言に直感をぶつけます。 この直感は、患者さんの病因にもぶつかって、何がしらの反射を返してきます。 患者さんのこころが素直かどうか? 病因がこころを蝕んでいるかどうか? こころの病気の方は、病因が牙をむいて襲いかかってくることさえあります。 診察室に入ってきただけで、すでに太刀を抜き放った真剣勝負モードです。 こころを固く閉じてしまっている患者さんも多いです。 病因がどこに、どれくらいの大きさで、どんな色で・・・何も分からないこともあります。 ブラックホールや透明人間みたいに、こちらの直感が肩すかしを食ってしまうこともあります。 初見の直感は、医者が自分で磨き上げるしかありません。 教えてあげようにも、教えようがありません。 競馬のパドック予想屋さんと同じです。それらしいことは言えるけど、肝心なことは説明できません。 この直感は、天賦の感性と試行錯誤の経験値で高まっていくと思います。 いくら天賦の直感力が優れていても、それに気づき、自ら信じて磨いていかなくては、ただのヤマカンで終わってしまいます。 直感力が高まってきても、我欲&エゴが入ると、途端に直感力はスランプに陥ります。 ここが最大の難所。 ほんものの直感力に長けた先生は、めったに巡り会えません。 そして、望診。顔を見ます。 中医学では、額・眉・鼻筋・鼻・頬・唇・・・それぞれが身体に合します。 顔を見れば、身体の調子が分かるのです。 身体のどこに気滞や血虚があるのか? 肝鬱の具合は? 気の上気は? 胃火亢進なのか脾虚なのか? 顔を見ただけで、おおよそのことが分かります。 そして、顔色に初見の直感を合わせると、こころの具合までも分かってしまいます。 中医学を極めれば、卜も医も命・相・山と共に五術で繋がり絡み合うので、易者と同じこともできるようになります。(私はそこまでしませんよ) 望診で推察された病因と病状を、問診・脈診・舌診・腹診で検証していきます。 そして、すべてを踏まえて、弁証論治へと向かいます。 これをあっという間にやってしまう。 証は刻々と変わっていくので、これらの診察と弁証論治を毎回、1からやっていきます。 (西洋医学は一度診断がついたら、よほどのことがない限り、そのまま同じ治療・同じ薬でしょう。エビデンスに縛られるほど、変えようがなくなります。だって、マニュアル&テキストに書いてあるもん・・・) 西洋医学は、マクドナルドやコンビニ弁当、外食産業、冷凍食品みたいなものです。 便利だし、みんなに同じものを提供できます。 東洋医学は、スローフードですね。 手間はかかるし、お袋の味で再現性に乏しい・・・ でもね、身体にやさしくて、こころに心地よいのはスローフードでしょう。 美味しいものを食べるためになら、遠くまで行くし、多少値がはっても、手間がかかっても、時間がかかっても出かける人たちは多いですよね。 グルメ・美食家ってやつです。 ホームドクターだって同じやと思います。 2週間に1回、月に1回・・・生活習慣病なら服用する薬も保険診療代も同じやけど、だからこそ、病気を診るホームドクターよりも「あなたをまるごと診る」ホームドクターの方がええやん、と思っています。 私は自分だったら、こんなホームドクターにかかりたいなって思うドクターを目指してます。 抗加齢医学会で先端医療の最新情報をお勉強してくるのもそれです。 スピリチュアルな話も、生きがいや死の話もホームドクターには必要だと思っています。 自画自賛で自己評価すれば、月一なら東京・九州・四国まででも新幹線や飛行機に乗って通いたいホームドクターだなって思います。(う〜ん、ちょっと天狗だな、ごめんなさい) スローフードに目覚めたグルメ美食家さんたちが少しずつでも増えてくればいいなって思いながら、今日も外来をしています。