2013年4月12日金曜日

おはようさん 2013.4.13.

抗加齢医学会の専門医になって、もう7年経ちます。 この学会の面白いところは、抗加齢というテーマで国際的な基礎研究からトライアルな臨床報告まで、診療科の垣根を越えたさまざまな最先端な研究をお勉強できるところです。 企業ブースには、その時々の勢いのある商品や器具がいっぱい並んでいます。 そういった企業の商品を毎年、眺めていると、1年で消えてしまうものもあったり、数年間、ずっと出展できているものもあったりします。 後々、患者さんに「どんなサプリがお薦め?」「この健康商品は大丈夫?」などと尋ねられたら、少なくとも3年間は出展している企業をお薦めるすようにしています。 同じような名前の学会で、美容形成中心のアンチエージング学会があります。 美容形成の世界は、それはそれで「すごい!」  その世界を遠めがねで覗き見るだけで、膝がガクガクしてチビリそうになります。 我欲とエゴと札束だけの世界・・・に私は見えますけど、それはそれで良しです。 10年前のSFが現実化しちゃってる世界です。 そこで想うのは、本当の美とは? です。 例えば、電車の中で化粧してる女性は、どんなに上手にメイクしていても「美」は皆無です。 彼女らは、レストランのショーウィンドウの中の蝋細工みたい。 造花と生花の違いでしょうか。 若い頃のオードリー・ヘップバーンも美しいですが、ボランティア活動に明け暮れていた中高年のオードリーはもっと美しいです。 美に輝きが増しています。オーラってやつかな? 美の輝きとは何でしょうか? それは愛(思いやり・共感力・慈しみ)であり、知性(自信・感受性・創造力・夢)でしょう。 愛と知性、それは愛智、フィロソフィー(哲学)です。 自分の哲学を持っている人は輝いています。 自分の哲学とは自分の生き方。 「電車の中で化粧して何が悪いの!私のかってでしょう」 「くわえタバコのどこがいかんのや。俺様のかってやろ!」 「給食費なんて払いません!我が家のやり方です!」 自分の生き方を大切にしましょう、というと、こういう輩がうじゃうじゃ出てきますね。 そう、政治家や著名人、有識者って方々にも・・・多いなぁ。 桑原&桑原。 我欲&エゴに飲み込まれてしまったのか、 我欲&エゴの呪縛から自由になったのか、の違いが、闇の世界と光の世界を分け隔てます。 美も同じ。 我欲&エゴな美は外見だけ。 映画の大道具のように、前から見れば綺麗ですが、裏に廻ればベニヤ板です。 その場の一瞬だけ、スポットライトを浴びて、撮影が終われば粗大ゴミです。 内なる美があふれ出ている人は、着飾ったり、派手な化粧をする必要などありません。 神社で祈ってる、土手に座って本を読んでいる、桜の花を見上げている・・・ ただそれだけで、美しさが素晴らしい絵になります。 別にポーズをとったりしていない、何気ないその一瞬が最高の写真になります。 特に日本人は生きざまに美を見てきました。 恥の文化の本当の意味は、 恥の就縛にがんじがらめに(ならぬものはならぬ&人の目&みんなで渡れば怖くない)されるのではありません。 恥の文化は、我欲&エゴから自由に生きること。他人と自然へと慈しみ&思いやりを持って、日々、生きることです。共感力を高める生き方です。 花だけが美しいのではありません。 新緑を愛で、 夏草に力をもらい、 真夏の木漏れ日に涼を感じます。 秋の稲穂に感謝し、 紅葉に歓声を上げます。 冬の立木にさえ、凛とした生命力を感じ取ります。 愛智あふれる美しい人は、めぐりめぐる大自然の時の上に立てます。 生老病死も輪廻転生も超越して「今」に生きることができます。 そう、これが究極のアンチエージングです。 美しく生きること。 ひとりひとり、その生きざまが違っていても大丈夫です。 死んで今生を振り返ってみた時に、美しく生きたなぁ、と思えるように、 生きている今日を美しく生きたいものですね。