2013年4月18日木曜日

おはようさん 2013.4.19.

昨日の外来で。 数年前から中度の認知症で通院していたおばあちゃん。 重度の乳癌が見つかって、大学病院で全摘手術を受け、抗ガン剤も放射線も受けました。 しばらくは落ち着いていたけど、去年夏に全身転移になって、大学病院でいろいろ治療していたけどダメでした。 先日、藤本蓮風先生の鍼灸をお薦めして、2回、鍼治療を受けられました。 昨日は、鍼治療後、初めての診察でした。 いかにも末期癌な生気のない黒土色の願望だったのが、 氣も血もよく巡っていて、目力もしっかりあるじゃないですか! よくなるだろうとは思っていたけど、これほどまでに・・・うれしいショックでした。 蓮風先生が家族さんに言ったそうです。 「癌は治らないが、進行を遅めたり、痛みを軽くしたり、日々の生活を楽にしてあげる」 癌の患者さんに一番必要なものは生気の回復だと思います。 それは氣の巡りがよくなり、きれいな血がよどみなく流れるようにすることです。 氣の巡り&きれいな血は免疫力をアップします。 血がとどこおり、瘀血になったところに癌細胞が流れ着き、転移巣や痛みの原因となるのです。 瘀血は津液を汚し、流れを滞らせるので、浮腫を生じます。 浮腫と瘀血は経絡ネットワークを流れる氣を阻害してしまいます。 これが東洋医学的な癌再発のメカニズムです。 癌になって、手術して、その後、ネガティブになる(再発を過度に心配する・主治医を信じない・ヤケクソになる・内に閉じこもる等々)と、この瘀血がこころから身体全体へと広がっていってしまいます。 癌になって、その後、ポジティブに生きる人(旅行に行ったり、ボランティアをしたり・・・ともかく日々を笑顔で楽しく過ごせる人たち)は、なぜか癌の進行浸潤が遅れ、最後まで元気で過ごせる人が多いのもうなづけます。 先日、神経痛のトリガーポイントにブロック注射する前に、蓮風古代鍼で邪を瀉しておくと、ブロックがとてもよく効いたお話をしましたが、癌治療も同じだと思います。 癌は身体の深部だから鍼灸ではムリ・・・ではありません。 経絡は身体中に張り巡らされたネットワークです。 例えば、乳房に相対する穴も、右の目に相対する穴もありますし、 その場所に癌が現れた理由を中医学的弁証論で説明も出来ます。 説明できるということは、治療も出来るということですね。 西洋医学のように、乳癌だから胸部に放射線を当てる、乳癌に効く抗ガン剤を投与する・・・は、見た目にはわかりやすいでしょう。 ボールが来たからバットを振った・・・みたいなものですから。 癌を中医学的に弁証した鍼灸治療では、例えば、肺癌なのに右足母指に鍼をする・・・なんてこともあるわけです。一見、なんでやねん ですね。 鍼灸も漢方薬も含めて、東洋医学は癌だけを見ているわけじゃないからです。 全体を診ている。身体もこころも診ています。 「今」だけじゃなく、「過去」も「未来」も一緒に診ています。 癌の東洋医学治療は、地震の震源を探すようなものでしょう。 地震が来て、ともかく揺れた・・・これが癌。 揺れの方向、大きさ、長さなどのパラメーターをいくつも寄せ集めてきて、分析して、震源を探る・・・これが中医学的弁証論治。 地震と違うところは、震源にこれ以上、大きな余震やトラフ大地震を起こさないように、直接働きかけることができるということです。 これからの時代、大学病院での癌治療で入院すると、その日から鍼灸師や漢方医が回診してくる・・・そんな夢物語を思い浮かべてしまいます。 そして、癌だけじゃなく、どんな病気でも同じですよね。 「病は気から」 まずは気を巡らすことから始めましょう、という先人の教えなのかもしれません。