2014年12月25日木曜日

おはようさん 2014.12.24.

クリスマスイブの夜、みなさんは笑顔かな? 幸せかな?って祈りを込めて思いを馳せています。 医院の類焼全壊から1ヶ月が過ぎ、事後処理やスタッフたちのこと、さまざまな書類書きが終 えて、今週からはお見舞いをいただいたり、我がことのように心配してくださったみなさんへお礼にまわっています。 そして我が身のこれからのことも・・・雇用保険のない身の上ですから、自分で動かなくてはね。 今年のクリスマス さすがに全然クリスマス気分にはなれません。 今日も遠出をしていて忙しかったこともありますが、クリスマスケーキのないイブの夜なんて・・・生まれて初めてじゃないかしら・・・と思うと、さすがに寂しくなります。 それじゃぁ 神さまとお話しますか・・・と思っても、神さまたちは良い子の願い事を聞くのにテンヤワンヤで銀河通信も大混線してます(;^^)ヘ.. 今夜は世界中にどれくらいのサンタさんがいるのかしら? 一年で一番、我が子の寝顔を愛おしくなる夜ですね。 我が子の寝顔を見ながら、 生まれてきてくれた喜び、こんなにスクスクと育ってくれた感謝を思い出す夜なんだね。 サンタさんがパートナーでも友だちでも兄弟でも、 自分のことを想ってくれた喜びと感謝が一年間、がんばってきた&傷だらけになったこころに暖かい炎を灯して癒やしてくれます。 クリスマスはみんなが優しくなれる日です。 そして願わくば、クリスマスの優しさ 愛 を新しい年もずっと持ち続けていけたらなぁ。。。 さてと・・・サンタさんにおねだりの靴下をぶらさげて・・・おやすみまんもす(*⌒▽⌒*) 前世物語 「そうだなぁ、ケーブルカーじゃなくって、スキー場のリフトを思い浮かべてみてごらん。白馬八方尾根みたいなスキー場を。直通ロープウエーはこの際なしだよ。山頂まで行くのにリフトをいくつも乗り継ぐよね。そして自分のスキーの腕にあったところで降りて滑るだろう。もしも無理して腕前以上のところまで登ってしまうと、もうスキーどころじゃなくなるよね、黒菱の壁から雪だるまになって転がり落ちる人って結構いるものね」  先生がまた微笑みながら続けました。 「例えて言うならば、ここに来る患者さんはスキーをしたくなったか、しなくてはいけなくなった人で、私と美子さんはスキーのインストラクターなんだよ。私たちは一生懸命に指導はするけれど、実際に滑るのは患者さんなわけだよね。いくら私たちがカッコ良くデモンストレーションで滑って見せても、患者さんは上手くならないよね。イメージでわかっていても実際には・・・だから。それよりもボーゲンをしっかりと教えてあげる、基礎を麓でじっくりと。そしたらすぐに転ばなくなるんだ。スキーをしている、という喜びが感じられるようになってくるんだよね。生きる喜びみたいなものだよね。そして楽しくなってくる。下手だけど、まだまだ転ぶけど、楽しくなってくる。これが楽しむということだよ、人生も同じだよね。もう転ぶのが怖くないから勇気が出てくる。ちょっと背伸びしてみようかな、なんて。そして一つ先のリフトまで行ってみる。最初は転ぶよ。でも楽しいんだよね。だからまた挑戦する。挑戦を繰り返しているうちにボーゲンがパラレルになっていることに気づくんだ。友達から上達したね、とか言われると、ますますやる気が出てくるよね。そうやって山頂に近づいて行くんだ。もちろん行く手には壁が待ちかまえているよ、中級の壁、上級の壁・・・。その時、またインストラクターのところへ来たらいいんだよ。今度は黒菱の壁を一緒に滑りながらアドバイスしてあげれるから。そう、あくまでもアドバイスだよ、自分の癖を押しつけちゃいけないよ。そしてインストラクター自身の体験の深さと幅の広さがどこまでアドバイスしてよいか、を決める物差しとなるんだ。アルプスを滑ったことがあるか、南極を滑ったことがあるか、チョモランマを滑ったことがあるか・・・インストラクターも自分が経験したことはアドバイスできるけど、滑ったことがないところのアドバイスは出来ないだろう。でもチョモランマを滑ったことがある人に教えてもらうボーゲンは、例え麓であってもなんだか説得力があるよね。深みと言うのか、コクと言うのか・・・」 「それで先生は今までにどこを滑っていらっしゃったの? アイガー北壁を直滑降かしら?」  先生は大笑いしました。 「闇の世界にしばらくいてね。その間にヴォイド、虚無の世界まで行ってきたよ。パラレルワールドに迷い込んだこともあるし、時間がこの世に誕生したところも見てきたよ」 「・・・・・・」  私は何も言えませんでした。私の唇もカルダモンの香りで満たされていきます。先生は本当に時を止めていました。完全な静寂が二人を包み込んでいます。全てのものが止まっています。 「誰も知ることの出来ない二人だけの秘密だわね」  先生はゆっくりと離れながら囁きました。私は先生の瞳を見て驚きました。私にキスしたのは美しい黒褐色の肌をした少女だったのです。 「えっ?」  でも瞬きの向こうにいたのはカバの目をした先生でした。すでに時が動いていました。先生は入れたてのアールグレイのカップを愛おしそうに撫でていました。 「先生、肩を揉みましょうか?」  私はそのまま先生の後ろに回って肩を揉み始めました。先生は気持ちよさそうに身を任せています。 「美子さん、先生を甘やかしちゃいけませんよ。もうすぐ夜診なんだからビシッとね、ビシッと」  通りかかった看護婦さんが笑いながら言いました。 「はい、大丈夫です。最後にちゃんと首を絞めときますから、ご心配なく」  私は先生の首を絞めるマネをしながら答えました。 「なんだったんだろう。まぁ、いいか。二人だけの秘密なんだね」  私はベルガモットの香りが残った唇からそっと投げキッスを送りました。