2013年8月4日日曜日

おはようさん 2013.8.5.

今日は「前世物語」から、過去生のお話をひとつ、ご紹介しましょう。   結婚 昔々、ある砂漠の国に、黒い目をした女の人がいました。 夕方になると、いつも夕日のきれいな所へやって来ました。 そしてラクダに乗ったまま、一人泣いていました。 アーリーと言います。 思い出の涙が、黒いチャドルを濡らしました。   アーリーは、楽しかった頃を思い出しました。 それは二十五歳の時でした。 焦げ茶色の髪に茶色の目が美しい恋人と夕日を見ています。 スラノと言います。 嬉しくて、楽しいひと時です。 彼は言いました。 「一緒に暮らそうね」 アーリーは答えました。 「早く一緒に暮らしたいね」 「一日も早く、一緒に暮らせるようにがんばろうね」 二人は約束しました。 三十四歳の結婚式の前日です。 アーリーは、二人が暮らす家の片づけをしています。 スラノは「明日、一緒に行くからね」と言って、仕事に行きました。 彼女は嬉しくてウキウキしています。 翌日、町のイスラム教会での結婚式です。 アーリーは自宅で待っています。 彼と待ち合わせして、一緒に教会へ行くのです。 でも、スラノはなかなかやって来ません。 母の黒い目が心配そうです。 父は言いました。 「あいつは行動に移さないから、信用出来ないヤツだ」 アーリーは「何か事件にでも巻き込まれたのではないかなぁ・・・」と気がきではありません。 結婚式に集まってくれた友人たちが、二つ離れた町のスラノの家まで見に行ってくれました。 でも、誰もいませんでした。 結婚式は中止になりました。 アーリーは悲しみながらも思いました。 「あぁ、やっぱりだわ・・・」 彼女は心の奥では「何だか信用出来ないなぁ・・・」と思っていたのでした。   悲しみがアーリーを包み込みます。 彼女は二十八歳に戻っていました。 お腹にはスラノの赤ちゃんが宿っています。 彼は言いました。 「おろしてくれ。子供は結婚してから作ろう」 彼女は思いました。 「私のことを愛してないんだわ」 アーリーは彼と一緒に、遠い医者の所へ行きました。 彼女は決心しました。 「もう、子供はいらないわ」 スラノは言いました。 「また、子供を作ろうね」 彼女は思いました。 「本当にそんなこと、思っているのかしら」   時が過ぎて、アーリーは六十五歳になっていました。 死を間近に感じます。 彼女は自宅でイスに揺れながら、人生を振り返りました。 「でもあの後、私は人を助ける仕事をバリバリやってきたもの・・・」 彼女は寂しさを慰めました。 あれから、結婚しませんでした。 彼女は思いました。 「どうして結婚式の当日、彼は来てくれなかったかなぁ・・・。真相が知りたいなぁ」 そしてアーリーは穏やかに死にました。 「私」は、アーリーの魂に尋ねました。 「身体を離れた時に、何か決心したことはありますか?」 「スラノに会いたいんです。今度会ったら、彼の子供を育てたいんです」 「アーリーの死体を見て、どう思いますか?」 「かわいそう・・・」 「まわりに何か迎えに来てくれたような存在を感じますか?」 「両親が来てくれました。よくがんばったねって褒めてくれています」  彼女は両親の魂に尋ねました。 「彼はどうしちゃったの?」  彼女が答えます。 「あの後は、何をやってもうまく行かない人生だったそうです。子供をおろしたことを、すごく後悔していたそうです。もう死んでいました」 「私」は彼女に聞きました。 「彼は迎えに来てないの?」 「来ています。・・・謝っています」  彼女はスラノの魂に尋ねました。 「どうして結婚式に来なかったの?」 「結婚することが縛られるようで、恐かったそうです」 「それを聞いて、あなたはどう思いますか?」 「私が縛ってたのかなぁ・・・」 「私」はみんなの魂を高みへと導きました。 そして、アーリーの人生を振り返りました。 彼女の魂が答えました。 「自分の正直な気持ちを、うまく伝えきれませんでした」 「私」はもっと高みへと導きました。 そしてアーリーの人生と、今のこの人生を見比べてもらいました。 「同じような人生です。最後まで、やり抜くことが大切です」   「私」はさらに高みへと導きます。 そこには、あたたかい「白い光」が見えます。 光の中心には、笑顔のマリア様が見えます。 「私」はマリア様に聞きました。 「今回の人生での彼との関係は何ですか?」 マリア様が答えます。 「やり続けなさい。やり続けることに価値があるのです」 「さっきのアーリーさんと同じになりませんか?」 「なりませんよ」  「やり続けることから、私は何を学ぶのですか?」 「達成感を味わうことです」 「私の今回の人生の目的は何ですか?」 「やり続けることです」 「私は、今まで何回生まれ変わりましたか?」 「三十六回です」 「そのうち、彼とは何回一緒の人生を送りましたか?」 「三十六回です」 「私たちは、ずっとこんな関係なのですか?」 「そうです」 「なぜ、それを卒業出来ないのですか?」 「あなたが彼と一緒にいたいからでしょう」 「三十六回ずっと私が女で、彼が男なの?」 「そうです」 「私」はマリア様に頼みました。 「その三十六回を全部、ダイジェストで見せて下さい。どんな人生でしたか?」 「だらだらと、ぬるま湯みたいな人生ばかりです。責任感もなく、ほとんど結婚していません」 「私たちの関係は、なぜこうなのですか?」 「結婚しないことが学びです」 「結婚しないことから、何を学ぶのですか?」 「・・・家庭とか籍とかに縛られないで、自由に恋愛することです」 「私の今回の人生は、ここまで順調ですか?」 「順調です」 「私の本当にやりたい仕事は何でしょうか?」 「人を喜ばせる仕事です」 「私」はマリア様に聞きました。 「爬虫類が恐いのはなぜですか?」 「昔、その毒を飲んで自分の美しさを保っていたからです」 「それは何のためですか?」 「自分のためだけでした」 「どうしたら爬虫類が恐くなくなりますか?」 「人のために役に立ちなさい」 「私」はマリア様に頼みました。 「今回の人生の目的をクリアー出来た、未来の私の姿をちょっとだけ見せて下さい」 マリア様の上に、未来のヴィジョンが浮かんできました。 「四十歳で、結婚しています。子供も二人います。相手は・・・彼です。家族一緒にご飯を食べています。すごく楽しそうです。私も安心してる感じです」 「その未来のあなたから、今、困っているあなたに、何かアドバイスを下さいってお願いして下さい」 すると未来のママが言いました。 「彼をどんどん引っ張っていきなさい。何でもあなたが決めちゃいなさい。最初は出来なかったけれど、そのうち出来ちゃったよ」 未来の彼に聞きました。 「あなた、引っ張っていかれちゃったの?」 彼は気恥ずかしそうにしています。 未来のママに尋ねました。 「今、幸せですか?」 「とっても幸せだよって言ってます」 「その彼女としっかり握手して下さい。どんな感じがしますか?」 「そうなれるような感じがしてきます」 未来の子供たちにも聞きました。 「何かアドバイスをちょうだい」 「このまま別れないで、付き合ってくれてたら、もうすぐ降りていくからねって笑っています」 未来の子供たちに尋ねました。 「あなたたちが私を選んだの?」 今の彼女が答えました。 「私がこの子たちを選んだのです」 「その子たちは、今までの人生で出て来た人ですか?」 「生まれてこなかった魂のようです。双児のような気がします」 未来の子供たちに聞きました。 「アーリーさんの時、あなたたちを生めなかったけれど、恨んでいませんか?」 マリア様が答えました。 「恨んでなんかいませんよ」 子供たちもニコニコしています。 今か今かっていう感じです。 赤い洋服を着て待っています。 「未来のあなたと彼にも聞いて下さい。私を応援してくれますか?」 「見守ってるからね、応援してるからねって言ってくれています」 「マリア様に、最後にもう一言アドバイスを下さいってお願いします」 「あなたなら出来ますよ。もう少しがんばって下さいね」 「この人生は、私と彼が決めたのですか?」 「二人で決めたのです」 「彼の人生も順調ですか?」 「順調です」 「今回は、うまく出来そうですか?」 「出来ますよ」 「私をこれからも見守っていて下さいね」 「いつも見守ってますよ」 そして私たちは、今、この時へと戻ってきました。 赤い服を着た双子をしっかりと心に抱きしめたまま・・・。