2013年8月20日火曜日

おはようさん 2013.8.20.

今日はお盆休み明けの初外来でした。 幸いにもホームドクターしてる患者さんたちの中から重症&入院した人がいなかったので、ほっとしました。今年は熱中症が多いですからねぇ。 水分しっかり摂ってます、な女性や高齢者の方々の中には、飲んでもそのままオシッコになってしまって、なぜか(漢方で云うところの)血と水が潤わない人がよくおられます。 朝から頭痛がする、めまいがする、食欲がない、微熱する・・・はこの時期、たいていが慢性熱中症の随伴症状です(点滴してあげると、スッと症状が消えて、元気が戻ってくるのが何よりの証拠ですね) 漢方で考えると、さもありなん、なことですが、西洋医学一辺倒&マークシート的○×思考だと、脱水だなんて疑えないでしょうね。 いつも鍼をしている患者さんたちが口々に「1週間は長かったぁ」「鍼してもらうのも待っていました」と言ってくださいました。 1週間空けてみて、忘れていた頭痛を・怠さを・寝苦しさを・便秘を思い出してしまいました と皆さん、言ってくれました。 そうです、鍼を始めてからの4ヶ月間で、そんな症状を忘れてしまうほど元気になっていたのですね。 その気持ち、よくわかります。私も用事で蓮風先生の鍼をお休みして中2週間になった時、治っていた膝痛やネガティブ思考がムクムクと再発しかけてきたのを実感してましたから。 検査データーとお話するのは西洋医学。そこはとてもデジタル思考な世界です。 患者さんの身体&こころと直接触れ合いながらお話するのが漢方&鍼灸医学です。そこは超弩級アナログな世界です。 私たちの世界はまだまだ天地自然の理に支配されているアナログな世界です。 人間のこころも身体もそんな天地自然の掌の中にあります。 西洋医学を縦糸に、東洋医学を横糸に、どちらもうまくよりあわせていけば、天地自然を包み込める錦を織り上げることができるでしょう。 その時、初めて不老不死の真髄がわかるのだと思います。 今日も「前世物語」の中からひとつ、症例をご紹介しましょう。   今回の人生の目的 昔々、南の島にコンガという男の人がいました。 日焼けした肌が逞しく、いつもたくさんの魚を捕ってきました。 ある日、彼は激しい嵐に襲われました。 一緒に漁へ出た船は、海に飲み込まれてしまいました。 コンガだけが知らない島へ流れ着きました。 ヤシの木の向こうから、踊りの音楽が聞こえてきました。 彼はフラフラと歩きながら考えました。 「仲良くなれるかなぁ」 小さな村の広場が見えました。 焚き火を囲んで、お面をつけた人々が踊っています。 祭壇の前で、赤ん坊に乳をふくませている女もいます。 コンガは子供たちに見つかってしまいました。 手を引かれて踊りの輪の中へ連れ出されました。 腰ミノが大きく揺れています。 彼は安心しました。 踊りが激しいスコールを呼びました。 村人たちは一斉に小屋へ逃げ込みました。 ブタもニワトリも入って来ました。 みんな、とてもお喋りです。 「お前、どこから来た?」 「流れ着いたんだ」 みんな、優しくしてくれました。 「船を貸してくれるかどうか、わからないなぁ。しばらくここにいることにしよう」 スコールが彼の涙も濡らしました。 時が過ぎました。 コンガは六十五歳になっていました。 もう村の長老です。 小屋で車座になっては若者たちに、魚の知恵、漁の心得を教えていました。 彼はいつも言いました。 「あまり沖には行くなよ。無理するなよ。必ず帰ってこいよ。漁は気をつけろよ」 船のいない白い砂浜で、コンガは夕日が沈むのを見つめていました。 「私の島へと、あの夕日は帰っていく。でも、私は帰りたいけど帰れない。長老として、この島を守っていかなくてはならないから。みんなから信頼されているから・・・」 彼は子供の頃を思い出しました。 ヤシの木のブランコに、お母さんが弟に乳をやりながら座っていました。 コンガが後ろから押してやりました。 お母さんが嬉しそうに笑いました。 お父さんが森から獲物を持って帰ってきました。 それは大きな鳥でした。 お父さんは強くて狩の名人でした。 お父さんはレイキといいます。 お母さんはハルといいます。 弟はジークといいます。 みんなとても仲良しでした。 コンガは十八歳で結婚しました。 妻はシュールといいます。 同じ村の幼なじみでした。 村のみんなが祝ってくれました。 彼は決心しました。 「これからは一人前の男だ。怖いものなしだ。恐れちゃダメだ。守るために戦うのだ」 やがて二人にかわいい男の子が生まれました。 ルーといいます。 彼はもっとたくさんの魚を捕ってくるようになりました。 七十八歳になって、コンガは死の床にいました。老衰です。 島のみんなが来てくれています。 小屋に入りきれず、広場でじっと座っています。 「島のみんな、ありがとう」 コンガの魂は感謝しながら、頭から抜けました。 「私」はコンガの魂に聞きました。 「死んだ時、何か決心したことはありますか?」 「前の島に帰りたい。もっと上がったら、他の島が見渡せます」 「では、もっと高く上がって行きましょう。あなたの生まれた島が見えますか?」  彼の魂が答えました。 「あそこでも誰か死んで上がって来ています。別の島でも上がっています。死ぬと上がるのです」 「私」は彼を高みへと導きました。 そして、彼の人生を振り返りました。彼の魂が呟きました。 「海の道です。じっとしてません、たぶん・・・島から島へ行きました。流れています・・・」 「私」は、もっと高みへと導きました。 そしてコンガの人生と、今、生きている人生を見比べて貰いました。 「今のは真っすぐな線です。昔のはちょっと曲がっていました。だけど昔のは細くありません。今の方が細いです」 「私」は、更に高みへと導きます。彼の魂が答えました。 「空に黒い穴が何個も開いています。その中に入らなくてはいけません。どれに入るかは自分で決めます」 「私」は言いました。 「では、自分で決めて入ってみて下さい」 「入った瞬間に、宇宙の星々のような光の点々が見えます。上には明るい渦巻きの雲が見えます。そこを突き抜けると、雲の上に出ます。雲の上には、燃えてる太陽が見えます」 「では、その太陽に向かって昇ります。そして太陽の中に入ります。太陽の中はどうなっていますか?」 「たくさんの白い玉がフワフワしています。自分と一緒に上がって来た人たちです」 「その中心はどうなっていますか?」 「噴水がある池のような所に、女神さまのような人がいます。ぽっちゃりして、笑っています」 「私」は女神さまに尋ねました。 「今回の私の人生の目的は何ですか?」 「本当の優しさで、みんなを守りなさい。本当の優しさは難しい。だけどみんなを守りなさい」 「自分自身がわからないのは、どういう意味があるのでしょうか?」 「しゃべらないからわからないのです。いろんな人と話をしなさい」と、女神さまが笑いながら叩きました。 「自分に意見がなくて、人の意見に流されるのですが、どうしたら良いのですか?」 「最後に残すのは、一つだけにしなさい。そうすれば答えは見つかります」 「私」は女神さまに聞きました。 「人間は何のために生きているのですか?」 「それぞれの目的が違います。けれど目的のないものはいません。目的は明確じゃなくても構いません。その過程で変化するのです」 「私はこれから先、どうなるのですか?」 女神さまが答えました。 「それは言うべきことではありません。それを探しながら、探すために生きるのです。見つけなさい。見つかるから」 「素晴らしい人生をおくるためには、どうしたら良いのですか?」 「悪意を取り払うことです。そうすれば、心が病気になりません」 「私」は女神さまにお願いしました。 「私の今回の人生の目的をクリアー出来た、未来の私の姿をちょっと見せて下さい」 「四十五歳で、ユニフォームを来た子供たちと野球をしています。俺が投げて子供が打っています。俺は笑ってるけど、子供は歯をくいしばって真剣です」 「私」は未来の彼に聞ました。 「何をしてるの?」 「子供たちと甲子園へ行くのです。この子たちの中からプロになる子がきっと出ます。だけど、厳しい練習は絶対しません。楽しく遊ぶ。遊んで勝つ。自分に出来なかった夢を話したら、子供たちがそれに興味を持ってついてきています」 「あなたは今、幸せですか?」 「幸せです。充実しています」 「未来のあなたに何かアドバイスを貰ってください」 「選択枝は多いけど、全てが正解です。でも選べるのは一つだけです。本当に幸か不幸かは、自分が感じ取るものだから、どれが正解か、はありません。どれを選んでも良いのです。選ぶのは自分です。あまり迷っていても、何にも変化は起こりません。どれかを選ばなければ、変化は起こらないのです。立ち止まるな!」 「あなたも今の私を応援してくれますか?」 「応援してなきゃ、今、ピッチャーしてないよ」 「私」は女神さまに聞きました。 「今回の人生は、ここまで順調ですか?」 女神さまが答えました。 「あなたは恵まれてる方です」 「あなたも私を応援してくれますか?」 「私はすべての人をサポートしています。だから、私が応援してくれるかどうか、という不安は必要ないのです」 「私」は、女神さまの下の白いフワフワした人たちにも尋ねました。 「みなさんも私を応援してくれますか?」 白いフワフワした人たちが、おしくら饅頭みたいに動き出して答えました。 「がんばれよ。逆に俺がそうなった時には応援してくれよな。がんばれ!」 そして私たちは、女神さまのもとを離れて、今、この時へと戻ってきました。