2013年8月18日日曜日

おはようさん 2013.8.19.

奥山医院の夏休みも終わりました。 月曜からいつもどおりの診療です。 今年の夏休みは、養老でのお茶事くらいしか予定がなかったのですが、いざ、夏休みに入ると、ラッキーなこともアンラッキーかも?なこともいろいろ立て続けに起こって「あぁ、生きてるんやなぁ」を実感しました。 一日一日が充実していて、1週間前がもうずっと昔のような気分です。 いいんかしら? これって認知症の始まり? 昔、寝たきり老人ばかりが入院している病院を週一で回診してたことがありますが、そこでは時間が止まっていました。病室へ入るなり、時の流れが止まったかのように感じられました。 それは強烈な経験でした。 それを思うと、こうやって時の流れを十二分に味わい尽くしている今は幸せですよね。 願わくば、私の「時が止まる」その時は、ちょうど今日死ぬよっの朝にして欲しいな。 ゆっくりゆっくりと時が流れるのを感じながら、これまで歩んできた道を振り返ってみようかな。 あぁ こんなに歩いてきたんだ。あんな高い山を越えて、あんな深い谷を渡って。 あの河は泳いだよなぁ。あの海は船に乗ったよなぁ。 そんな思い出に浸りながら、微笑みながら、でもちょっと涙もこぼしながら、逝きたいな。 だから、それまでは、日々、うれしく・たのしく・おもしろく生きていきたいと思っています。 今日は「前世物語」からまたひとつ、症例をご紹介しましょう。   今を楽しめない理由《わけ》 昔々、京の都に、それはそれはとても裕福で、幸せに満ちた人生を送った女性がおりました。 「しの」と申します。 丸顔に日本髪のかんざしがとてもよく似合いました。 道行く人たちは、しのさんの輝きに心引かれました。 七十九歳で、しのさんは暖かな死を迎えました。 白い旅装束でさえも美しく見えます。 夫も、子供たちも、孫たちも、そばにいてくれました。 「私」はそっと、しのさんに尋ねました。 「人生、どうでしたか?」 「幸せでした。お金には不自由しませんでした。何でも自分で選べました。お嬢様でしたが、みなさんにも良心的に接することが出来ました」 「一番の幸せは何でしたか?」 「結婚、出産、子育て・・・ともかく何不自由しませんでした。子供たちも、思いやりのある子に育ちました。夫も良い人でした」 しのさんは死にました。 「私」は聞きました。 「身体を離れた時に、何か決心しましたか?」 「また、夫とこの子たちと一緒になりたい・・・」 「しのさんの御葬式が見えますか?」 「賑やかではないけれど、本当に良い御葬式です。しのは良い人だったみたいです」 「それを見てどう思いますか?」 「また、こういう人生を送りたいです」 「私」は、しのさんを高みへと導きました。 「では、上にどんどん高く高く上がります。そして、その高いところから、しのさんの人生を見て、何か気がつくことはありますか?」 「惜しみなく、分け隔てなく、町のためにも、夫にも子供のためにも尽くしました。それが心から出来ていました。なに不自由ない生活だからこそ、人に与えることが存分に出来ました。私の人生は間違ってなかったと思います」 「私」は、もっと高みへと導きました。 「では、もっともっと高く高く上がります。その高い高いところから、しのさんの人生と、今のあなたの人生を見比べてみて、何か気がつくことはありますか?」 「しのさんは損得勘定なしに、見返りを期待せずに、本当の気持ちから良いと思うことを人にしてあげていました。中傷なんかには毅然としていました。自分を信じていたから、全然気にしなかったし、怒りませんでした。今の私には、それが出来ていませんが、私にも出来ると思います」 「私」は更に高みへと導きます。 「そこから上はどうなっていますか?」 「真っ青な空・・・」 「その青空の向こうは?」 「ふわふわして、透明な感じ・・・。たくさんの玉みたいなものがいます。そこは、優しそうな感じの、人の良いところが集まった感じのところです」 「では、それに向って聞いて下さい。今回の私の人生の目的は何ですか?」 「楽しむことです。勇気を持ちなさい。人に優しくしなさい。私は自分が思ってるほどバカじゃないから出来るって言われました」 心が開いて、啜り泣きながら続けます。 「今の仕事も落ち着いてきて、これからは時間に終われることもなく、充実した働きが出来るようになると思います」 「そうなるためには、どうしたら良いのですか?」 「自分がやりたいと思うものから、軽い気持ちで始めなさい。あなたは弱くないから大丈夫です」 「今回の人生は、ここまで順調ですか?」 「怠けています」 「何をですか?」 「とにかく物事が過ぎれば良い、という感じでいました。自分をしっかり見ていませんでした。もっと地に足をつけなくてはいけません。自分でわかるほど、ぐらついてはいけません」 「怠けてるからダメなのですか?」 「そんなことはありません」 「怠けてたことも役に立つのですか?」 「役に立ちます」 「私」は更に尋ねました。 「『今』に集中出来ないのはなぜですか?」 「先を見ようとし過ぎています。失敗を恐れ過ぎています。少々の失敗は問題にはならないのに、大袈裟に考え過ぎています」 「少々の失敗は良いのですか?」 「かまいません。そんなに大事にはならないですから」 「どうしたら『今』に集中出来ますか?」 「今を楽しむことです」 「どうしたら良いのか、具体的に教えて下さい」 「とにかく笑顔を忘れないことです。もっと広い視野で物事を見ることです」 「しのさんに会わせてくれませんか?」と、「私」は頼んでみました。 「現れました」 「しのさんに『今の私に何かアドバイスをください』って、お願いして下さい」 「甘えてるって言われました」 「どういうことですか?」 「しのの人生では心を忙しくしていて、そんなことを考えている余裕などありませんでした。とにかくいつも人の役に立つことを考えていました。それに比べて私は、何もしないで取り越し苦労ばかりしています。何もしないから不安になるのは当然だって言われました」 「しのさんも失敗したことがありますか?」 「失敗の次ぎをがんばるのです。失敗の経験を生かしていけば、大丈夫です」 「失敗を悔いていませんか?」 「悔いてなどいません」 「では、しのさんとしっかり握手して・・・。どんな感じですか?」 「マシュマロみたいです」 「私を応援してくれますか?」 「もちろんですって」 「困った時の相談相手になってくれますか?」 「はい。いいですよって」 「どうしたら、しのさんに相談出来ますか?」 「目をつぶって、瞑想しながら思い出してくださいって言われました」 「これから私の友達になってくれますか?」 「いいですよって言ってくれました」 「私」は、ふわふわした玉にお願いしました。 「今回の人生の目的をクリアー出来た、未来の私の姿をちょっとだけ見せて下さい」 すると優しい玉の中に、何かが見えてきました。 「今の仕事を続けているみたいです。笑って喜んで、仕事をしています」 「その未来のあなたに『何かアドバイスをください』って、お願いします」 「悩むのはこれで終わりですよ。着実に力をつけているから大丈夫です」 「未来の私さん。あなたはもう、取越し苦労をしませんか?」 「たまにしているみたいです」 「そういう時には、どうしているの?」 「前ほど深刻に考えたりしませんって」 「あなた、毎日楽しい?」 「楽しいそうです」 「結婚しましたか?」 「子供がいるみたいです。家庭も楽しいそうです」 「彼女と握手して・・・どんな感じですか?」 「力強いです」 「このエネルギーをわけてくれますか?」 「いいよって言ってます」 「彼女のエネルギーがどこに流れ込んで来たように感じられますか?」 「全身です」 「優しい玉に『最後にメッセージをください』って、お願いします」 「世の中は自分の気持次第で、どうにでもなります。だから、人にもっと優しくしなさい。言葉なども、もっと積極的な言葉を使うと良いです。あなたの人生は大丈夫ですよ」 そして私たちは、たくさんの玉の声援に包まれながら、今、この時へと戻ってきました。