2014年10月23日木曜日

おはようさん 2014.10.22.

最近、漢方処方する際に参考にさせていただいている本があります。 「山本巌の臨床漢方」  日本漢方諸流派から中医学、現代医学と、それぞれに精通することを心掛け、その上で真に病人を救う医学を創造しなければならない。山本巌先生が臨床家として貫かれた姿勢である。山本巌先生の深奥を窮めた漢方は、学としての漢方を追求し、尚且つ豊富な臨床経験とともに、中島紀一先生に学んだ中島流一貫堂医学に支えられた「術」を身につけた上での到達点の高さゆえのものであろう。 本書は、同時期に故・山本巌先生の門下生となった坂東正造氏と福冨稔明氏による共著である。山本巌流漢方を後世へ伝承していくために、その「学」と「術」の理解と実践に可能な限り役立つよう、5年の歳月をかけて編集・執筆してきたものであり、編著者自らが師より継承し実践してきた中で得た、学識と臨床経験に照らしてまとめ上げた渾身の作である。坂東氏の前作『漢方治療44の鉄則』、『病名漢方治療の実際』が山本巌流漢方のエッセンスを解説したものとすれば、本書は「臨床実践の知」に立脚した山本巌流漢方の基礎と臨床の集大成と言える。 先日の蓮風先生の臨床50周年の会で、この本の出版社 メディカルユーコンの代表さんと、この本について熱く語り合いました。 実は私はこのメディカルユーコンの代表さんとは、昔から東洋医学会でよくお会いしていて、お友だちです。 この東洋医学専門書屋さんの本は、どれもとってもユニーク&臨床で役立つものばかりなので、いつも新刊を楽しみにしています。 年に一冊出るか出ないか・・・ともかく自信のある本しか出さない本屋さんです。 蓮風先生の名前も、東洋医学会の書籍コーナーで、このメディカルユーコンの代表さんに教えていただいたのが最初でした。 たしか「上下左右前後の法則」をとても熱く語っておられたのを覚えています。 さて、この山本巌先生のことも、お名前くらいしか知りませんでした。 ただ、これも東洋医学会の書籍ブースで熱く語られて・・・高いなぁと思いながら、まぁメディカルユーコンさんの本だから・・・と買って・・・ずっと診察室の机の中に眠らせていました(;^^)ヘ.. この夏頃だったかな・・・机の中からこの本に呼ばれて、漢方外来で使ってみると、ものすごくわかりやすい&使いやすい本だと気づきました。 はい! こんな漢方本、これまでなかったです。 使い手のことをよく考えて編集してあり、臨床現場をよく知っている編集者さんの細やかな心遣いが身にしみてわかります。 漢方を机上で勉強するためには、ボリュームも が大きすぎるし、内容も臨床に振れすぎているので不向きかもしれませんが、これを診察室の机の上に置いておいて、漢方診を詳しくして、弁証ができて、さてどの漢方にするか? でちょっとでも迷ったら、とても力強い助けになってくれる本です。 東洋医学会でもエビデンスや実験結果といったデジタル医学がまるで「進撃の巨人」のように闊歩していますが、漢方はやはり経験値が一番大切です。 本に残す・・・漢方は黄帝内経の頃から漢方はそうやって経験値を本に残して、後世に伝えていく、ある意味、文化でした。 このすごいボリュームの漢方書にお世話になりながら、山本巌先生はじめ、多くの先人だちの努力と創意工夫の数々に深く感謝しています。
山本巌の臨床漢方
坂東正造
メディカルユーコン
2010-06

前世物語 「美子さんは私の女神さまなんだよ。いいじゃないか、それだけで。なにもすべての人々の神、神々の中の神にならなくたって・・・」  そんなワークが続いて、落ち込んでいた私に先生はこう言いました。神々の神・・・そうなんです、神様の言葉を解説できるのは神様しかいませんよね、神様なんですからその気になれば、とてもわかりやすい言葉で教えてくれるはずですよね。それがどっちつかずの言葉でしか返してくれない所に大切なヒントが隠されているのでしょう。私は危うく神になるところでした。 「先生こそ、私の神様じゃないですか? だって私にいろんなことを教えてくれているでしょう。私を洗脳しちゃったんじゃないの? まぁ、いいのよ、それでも・・・だって私は先生の筆頭信者ですからね」  先生はどこか寂しそうに答えました。 「スピリチュアルなプロセスは決して信仰ではないんだよ。スピリチュアルな師弟関係は宗教のように永遠ではないんだよ。この人間界の時間軸の上で単に早いか遅いかだけのことであって、師はいつか弟子に自分を乗り越えていって欲しいと思っているんだ。スピリチュアルに師弟関係があるとすれば、それは弟子を一人前のマスターに育てあげ、手放すことだと言えるだろうね。だからスピリチュアルなプロセスの上での出会いには、必ず別れがついてくるんだ。そして魂の世界から見れば、師弟関係は魂同士の切磋琢磨の一瞬でしかないんだよ。でも、美子さんと私の『今』が、二人が真剣勝負の刃やいばで火花を散らした一瞬でしかないのだったら・・・、美子さんにだけは師弟の関係を越えて、洗脳してしまいたい欲望が私にはあります。これは人間の煩悩ですね。ただね、私はそんな煩悩が愛おしくもあり、そんな煩悩で心が揺れている自分がかわいいと思っています。自分を好きになること、自分を愛することって意外とそんなところではないのかな」  先生の告白を聞いていると、この症例が再び私の中に浮かび上がってきました。この症例は、「結婚しないことが学び」の人生でした。そして結婚しないことから学ぶこととは、「家庭とか籍とかに縛られないで、自由に恋愛すること」だと言われました。そんな人生の目的は、「やり続けて達成感を味わうこと」でした。これは先生と私の今の関係にも当てはまります。先生は私にスピリチュアルな道をこのまま歩ませようとしています。もちろんそれは私も望んでいることです。ただ、先生は私が先生をいつか卒業する日がやって来ることを知っているのです。ですから、その日のために「自由に恋愛すること」に留めておくつもりでいます。そうしなければ、私のマスターとして私に卒業試験を下せないからだと言っています。私を洗脳してしまえば、先生が歩んでいくプロセスをそのまま私に転写すればいいだけですから、いつまでも私をそばに置いておくことが出来ることも知っています。そんな葛藤が先生の中のいろいろな欲を騒ざわめき立たせています。それを先生は煩悩と呼んで、一段高いところから楽しそうに眺めているのです。そんな自分をさえ、「かわいい」と言い放つ先生は確かに自分を愛して許せています。そんなふうに自分を愛せているのですから、私のすべてを無条件に許して愛することも本当に出来る人なのです。そう、今は何をやっても先生には敵わない私だということがよくわかりました。