2013年7月31日水曜日
おはようさん 2013.7.31.
母校の進路指導をしている高校時代の同級生から突然の電話がありました。
社会の先輩として後輩たちに何か書いて欲しいとのことでした。
そんなぁ、医者になったヤツはたくさんいるし、大学教授になってるのもいるのに、なんで私に???
数年前のクラブ同窓会の時、前世療法をやったおかげで医者友だちを失ってしまった・・・ような話をした覚えがあります。(ちなみにクラブは新聞部 居候でしたけどね)
おまえのようにポリシーを貫いているヤツの話がええんや とのことでした。
テヘ (;^^)ヘ..
高校生たちに伝えたいこと 私なりの人生論をまとめてみようと思います。
その1
「不運こそオンリーワンへの神ノ道」
人生に起こる失敗・挫折・脱落・仲間はずれ・・・不運の下でがんばった経験は、いつか必ず & 思いっきり役立つ時が来ます。
脳外科研修医になって3年目。同期はみんな忙しい救急病院が担当となり、しょっちゅう手術助手に呼ばれていましたが、私の担当病院は何と精神科病院!
(主治医となった患者さんのことを想うあまり、要らぬことを言ってしまって上を激怒させてしまったのでした→教訓:口は災いの元)
ほとんど誰も来ない外来で一日ぼっっっとしてるだけでした。明らかに左遷でした。
その時はめげていたけど、自分なりに立ち止まらずに、もがきながら何かを手探りしていました。
そこで発見したのは、精神科の長期入院患者さんたちの中に、かなりの数の正常圧水頭症の患者さんがいるということでした。
水頭症の手術もたくさんしました。数年後には、同期の中では断トツに水頭症に詳しくなっていました。
そして、その数年間の週一日の精神科体験が今、こうやって心療内科として患者さんを診るのにとても役立っています。
あの時の精神科病院での経験がなかったなら・・・今頃は普通の脳外科医をしていたことでしょう。
同じく研修医時代。月20日以上の病院当直して大学病院からのお手当は7万円くらいの時代でした。脳外科は夜間緊急手術があるので関連病院以外での当直バイトは禁止でしたが、私と同じように医者の家系でない貧乏後輩たちとチームを組んで当直バイトを廻していました。
ある時、講師の先生から言われました。
「貧乏人は医者になるな!」
ひどいいじめもありました。当直に行ってるのをわかっていて、わざと緊急呼び出しをされたり、三日三晩連続して夜間呼び出されたり・・・でも、生きるのに精一杯だったから、がんばれました。
あの当直バイト時代に学んだことは・・・
一般病院の救急夜間外来をこなしていて、子供から老人まで、さまざまな風邪や腹痛や骨折捻挫や心身症や・・・なんでもかんでも治療できるようになりました。
指をつめたヤクザさんの処置なんか上手いもんですよ。
今のよろず診療の経験値は、あの時代に養われました。
そして、あれだけがんばれたのだから、少々のことではびくともしないぜ! な自信がつきました。
自分の限界を知るのは、やっぱり若いときに限ります。
大学院の研究室に入って、同期は腫瘍細胞をいじくる研究でしたが、私はなぜか、それまでうちの研究室では誰もやったことのない、担当教官もその分野はどうみても素人な「聴性脳幹反応」の動物実験でした。うわさ話では、例の上が聴性脳幹反応の機械を買ってしまったので、何か研究しなければいけないから、とりあえずテーマを出した・・・なんて不幸なんでしょう。。。
そもそも動物実験用の機材などありません。予算も当然ありません。
仕方がないので、東急ハンズで木材を買ってきて・・・の大工作業から始めました。動物実験に使う道具も全部、木工用やホビー用のものを代用して使いました。
担当教官が素人なのをいいことに、2年間、好き勝手な研究が出来ました。
今から思うと、「気」の伝導速度を求めていましたね。
もちろん、誰も見向きもしてくれなかったけど、青森での脳波学会で、ある教授が真剣に耳を傾けてくれて「おもしろい!」と言ってくれたのがうれしい思い出です。
もちろん&もちろん、担当教官に理解できるはずもなく、博士号は霧の中に消えてしまいました。
(教訓:博士論文は当たり前のことを平々凡々に書きましょう)
機械がなくても、予算がなくても、やりたい! やろう! と思えば、何とかなるのです。
そんなサバイバーな劣悪な環境下ほど、創造力&ユニークな発想力が鍛えられます。
常識に囚われてあきらめてしまう人たちがたくさんいます。
一流大学・一流会社の人たちに特に多いように感じています。
道具があれば、何でも出来るのはロボットです。
道具がなければ、代わりとなる何かを創り出すことが出来るのは人間です。
あの研究室時代に得たものは、常識に囚われない進取の精神・何もなくても何とかできるという変な自信・おもしろさが創造力&ユニークな発想を育んでくれるということです。
以下、続く・・・