2013年7月27日土曜日

おはようさん 2013.7.27.

夕方の診察を終えてから、認知症の老夫婦の家へ初めての往診へ行きました。 娘さんから、おじいちゃん&おばあちゃん、二人とも認知症の薬は飲まないけど(以前、処方してたけど、押入の中からどっっと薬が出てきました→よくあること)、鍼ならやってもらいたいと言ってるから、との依頼があってのお話です。 おばあちゃんは骨粗鬆症で背骨がまんまるに曲がってしまっていて、ほとんど歩けません。 顔望診では全身がひどい血虚&気虚。 舌診:全体に血虚、特に右下半身に湿濁。 脈診:全身に虚中実、心腎不交や肝鬱気滞はなし。 背候診:全体に実、心に熱邪。 腹診:全体に実、虚なし。神の気の漏れなし。 原穴診していくと、左右後谿・合谷・内関・照海・太衝など、どれも虚中実しているが明らかな左右差なし。 ??? う〜ん、この初回の鍼で何か効果がなければ、おばあちゃんはまた治療拒否の奈落に戻ってしまう・・・かなりのプレッシャーでした。 もう一度、肘や膝まで触診していくと・・・ありました!! 右足三里にバリバリの実邪が! すかさずそこへ鍼を1本して・・・ 5分すると、顔の血虚が消えました。 10分すると、おばあちゃんが「腰の痛みが消えた、楽になった」と言ってくれました。 20分で抜鍼すると、なんとおばあちゃん、自分から立ち上がろうとするじゃありませんか! 多分、今宵は久しぶりにゆっくりと眠れると思います(今までは腰痛で何度も目が覚めていたそうです) 蓮風先生が「鍼は面白い」と言われる気持ちがよくわかります。 自分の施術の結果が目の前で、リアルタイムに出てきます。 はずれも誤魔化しようもなく、目前に晒されます。 毎回が真剣勝負。だから感性が磨き上げられます。 神さまがますます鍼にのめり込むようにと仕向けたビギナーズラックだとはわかっていても、やっぱり飛び込んでしまいますね。 人間は小宇宙。わたしたちを包み込んでくれている大宇宙と繋がっています。 天地自然の理も宇宙の法則も共有しています。 治りたいという気持ちと、治したいという気持ちがシンクロして増幅されれば、患者さんの身体の中に「治すためのサイン」が必ず現れると思います。 それに気づけるかどうか? 感じ取れるかどうか? 医者の善し悪しはそんなところにあるのではないでしょうかねぇ。 今日も「前世物語」からひとつ、症例をご紹介しましょうね。   妻の病気の意味  昔々、東京の下町に、いつも野球帽を被った少年がいました。ひとし、と言います。  ひとし君はさびしん坊でした。いつも石をけって帰って来ました。大きなランドセルが黒いカタツムリに変身します。  ひとし君の夕食はいつも仏さまと一緒でした。ちゃぶ台が野球場のようです。彼はキャッチャーが得意でした。  夜遅く、お母さんが帰ってきました。お母さんは女工をしていました。ひとし君はお母さんが大好きです。優しい目をしたお母さんは「今の妻」です。  今夜、彼はお母さんに頼みました。 「一緒に寝て欲しいなぁ」 でも、お母さんはとても忙しいのです。ひとし君はお母さんのニコニコした顔を見ながら眠ってしまいました。 「だって、仕方ないもの・・・」  朝、ひとし君は一人で起きました。もうお母さんは出かけていません。彼は一人で食事の支度をしました。お母さんは近所でも評判の働き者です。そして、いつもニコニコしていました。  ひとし君は大学生になりました。今日は入学式です。彼は新しい学生服と大学帽を被っています。お母さんもきれいな着物を着ています。二人が門の前までやって来ました。彼はお母さんに何か言われました。怒られているわけではありません。でも、彼は思いました。 「ごちゃごちゃ言わないで欲しいなぁ。そういうの、嫌なんだ」  ひとし君はとうとうお母さんに言い返しました。そして、怒って一人だけで門の中へと入って行ってしまいました。  その夜、彼が家に帰ると、お母さんが黙って座っていました。ニコニコしていません。彼も黙って座り込んでしまいました。  ある時、大学生のひとし君は流感に罹りました。身体が寒くてたまりません。どんどん衰弱していきます。お母さんが心配そうに見ています。彼は思いました。 「もう死ぬのかなぁ・・・。お母さんに何も出来なかった。何もしてあげれなかった。これじゃぁ、生きてきた意味がなかったよ。何にも成しえなかったよ」 お母さんが励ましてくれます。 「ひとし、がんばりなさい」  「私」は、ひとし君の魂に尋ねました。 「死ぬ場面を通り越しましたか?」  「はい」  「下では、何が起こっていますか?」  「お母さんが泣いています」  「それを見て、どう思いますか?」  「お母さんに何もしてあげられませんでした」  「お母さんの涙を見た時に、何か決心したことはありますか?」  「入学式の時に、母に怒ったことと、何もしてあげられなかったことが悔やまれます。母に何かしたかった・・・」  「あなたが死んだ時に、何か決心したことはありますか?」  「今度は、自分が面倒を見てあげるんだ」  「私」は彼の魂を高みへと導きました。そしてひとし君の人生を高みから振り返りました。  「苦労してきた母親に対して、何もしてあげられなかった後悔がとても大きいです」  「私」はもっと高みへと導きました。そしてひとし君の人生と、今、生きている人生を比べて見ました。  「人生をそのまま返しています。前の人生を返しています」  「私」はさらに高みへと導きます。彼の魂はそこに柔らかい光を見ました。そして、光の中へと入りました。光の中には静かな人がいました。  「私」はその静な人に尋ねました。 「今回の人生での妻との関係は何ですか?」  「お返しをしたい、という気持が強いのです」  「今回の人生の目的は何ですか?」  「妻の病気を通じて、自分が向上することです。前の人生で出来なかったことです」  「今回の人生で、私は何を学ぶのですか?」  「人に尽くすことです」  「妻の病気の原因は何ですか?」  「私が自分で決めました。人に尽くすことを私に気づかせるために、自分で決めてきたのです」  「妻の病気を私が決められるのですか?」  「私の強い意志が伝わったからです。その意志がすごく強かったのです」  「私が妻を病気にしてるのですか?」  「でも大丈夫です。妻も納得しています」  「妻は恨んでませんか?」  「恨んでいません」  「では、妻の病気はどうしたら治りますか?」  「すでに治っていますよ」  「妻は自分の病気から、何を学んでるのですか?」  「病気が治った意味を二人で勉強して、同じように気づくことです」  「人間は何のために、生きてるのですか?」  「人生の目的に気づくことです」  「なぜ私は、何回も生まれ変わってるのでしょうか?」  「勉強のためです」  「今、私は人生の転機に立っていますが、この意味は何ですか?」  「人に尽くすことを思い出すためです」  「どうしたら良いのですか?」  「自分の思うままに・・・。それで良いですよ」  「今回の私の人生は、ここまで順調ですか?」  「ものすごく順調です」  「こんなに大変な状況なのにですか?」  「順調だ、って言われています」  「妻が病気になって、仕事が大変になるのは、私たちが計画してきたのですか?」  「はい」  「妻も私も、この転機を乗り越えるだけの力がありますか?」  「あなたがたなら出来ますよって」  「私」は、今回の人生の目的をクリアー出来た、未来の姿を見せてもらった。  「ニコニコしてます。二十歳くらいの男の人です。茶色がかった髪に黒い目です。事務所にいます。会社をやっています」 「その未来のあなたから、今のあなたへ、何かアドバイスをもらって下さい」  「ニコニコしていれば大丈夫だよって言っています。自信を持ちなさいって」  「未来の彼としっかり握手して下さい。どんな感じがしますか?」  「自信が湧いてきました」  「その事務所には、他に誰かいますか?」  「いるような気がします」  「その人たちの中に、今のあなたが知っている人はいませんか?」  「金髪の女の人が今の妻です。ちょっと年上かなぁ」  「その金髪の女性に聞いて下さい。今の私に一言アドバイスを下さい」  「かんがってねって言っています」  「今の妻にも、一言お願いします」  「何も心配することなどないですよ」  「みなさんも、私と妻を応援してくれますか?」  「もちろん応援するけれども、大丈夫だよって言っています」  「では、もとの光の中に戻ります。そして最後にもう一言、メッセージを下さいませんか?」  「あなたの思うままに生きなさい」  「辛い時は、あなたの所に来ても良いですか?」  「いつでも来なさい。」  そして私たちは、今、この時へと戻ってきました。