2013年7月13日土曜日

おはようさん 2013.7.14.

月曜日は海の日でお休みなので、土曜日は怒濤の外来になりました。 ものすごくお待たせしたみなさん、ごめんなさいね。 蓮風鍼法をするのに、毎日ちゃんと目で見て(望診・顔診)手で触って(脈診・背候診・腹診)、夢分流打鍼したり、鍼をしたりしてるので、どうしても診察時間が長くなります。 患者さんの今日の氣の流れを診て、氣の滞りや淀み・不足や多すぎの根本原因を見つけて、それを解消できる今日の穴に鍼をするから、鍼は効くのです。 そして、それほどまでの情報を漢方や西洋医学にもフィードバックしてるので、病気の診断や薬のチョイスもステップアップしていると思います。 昨日の夕診。 午後2時過ぎに突然、右大腿部に激痛が起こって、歩くのもやっとになったおじいちゃんが来られました。元々、高血圧で通院されていたので、尋常でないことがよくわかりました(かかりつけ医って大切でしょう!) 意識清明、血圧は痛みでやや上昇、不整脈なし、足背動脈触知可能、転倒打撲はなし。 動脈硬化測定装置(FORM)検査では正常=突発的な大腿動脈の閉塞性動脈硬化症ではない。 そこで・・・ 脈診:肝鬱化火、腰部・下肢に血瘀化火。 大腿部に疼痛を訴えていましたが、触診していくと、痛みの原因は右股関節部・鼠径部にあり。そこには特に局所的熱感あり。 ということで、大腿骨頸部骨頭壊死の早期(大腿骨頸部ー骨頭への栄養動脈の閉塞)と診断して、遠赤外線レーザー治療(これで今まで何人もの患者さんの足を救ってきました)と星状神経節のレーザーブロックと血栓溶解剤を処方しました。 そして、今回は鍼も! 蓮風先生の本の中に静脈瘤ー商丘:足太陰脾経 が載っていたので、右商丘へ毫鍼しました。 結果は・・・ 今日、とても楽になった、歩けるようになった、と来院されました。 もう一度、同じ治療をしておきましたが、夕方の犬の散歩は行けそうだと大喜びされていました。 さて・・・ 何が効いたのかな? 鍼が効いた! と言いたいところですが、過去の実績から大腿骨・股関節へのレーザーの効果も素晴らしいものがあります。ただ、半日でこれだけよくなった点は、やはり鍼の威力も大きいと思います。 蓮風先生なら、これは鍼一本で治されたことでしょう。 ただ、動脈閉塞性疾患は時間との競争です。 できるだけ早く局所の血流を再開通させてあげないと・・・重大な後遺症が残ります。 だから、その場でベストな治療をします。 ベストな治療が複数あれば、私はそれらを全部動員して治療します。 統合医療とは、専門領域・西洋医学も東洋医学も鍼灸も精神医学も垣根を越えて(つまらん意地やプライドなども越えて)患者さんを治療していくことだと思っています。 唯一の欠点は、何が効いたかわかりにくいことです。 エビデンスが得られにくい・論文にしにくいのが欠点です。 エビデンスの最たるものは、二重盲検法ですよね。 患者さんに偽薬を渡す・・・私は昔からこれが出来ない性分でした・・・だから大学に残れなかった。 出世街道なるものがあるとすれば、それをあきらめてでも、目の前の患者さんを治したかったのです。 今回も鍼一本で治せたかもしれません。 今はまだまだ「あまちゃん」ですが、十年、二十年経って鍼灸の自信がピノキオになったとしても、やはり鍼一本で・・・はしないと思います。 石橋を叩き過ぎて、奈落に落ちるタイプなのですね。 そんなことを思いながら、患者さんの笑顔に「まぁ、いいやん」と癒やされてました。 今日は、著書「光の前世療法」の中から症例をご紹介しましょう。   アルコール依存症  昔々、甲府の梅里にゲンタという青年がいました。彼は十八の時に、医学の勉強をするために町へ出てきました。  「はや」という診療所に着きました。中では、白い服を着た先生が忙しそうにしていました。ちょんまげが揺れています。患者さんたちから、じん先生と呼ばれていました。先生は「今の父」です。  じん先生はゲンタに、医学をしっかりと教えてくれました。とても優しくて、本当の父みたいでした。ゲンタはいつも「先生の力になりたい」と思って、勉強していました。  ある時、先生が「自分の娘を嫁にもらってくれ」と言いました。ゲンタはとても幸せでした。妻の名は「しず」と言いました。「今の娘」です。じん先生とゲンタ夫婦は仲良く暮らしました。仕事も順調でした。  ある時、ゲンタはミスをして、難産の母子を死なせてしまいました。その赤ん坊が「今の息子」です。赤ん坊はゲンタをとても恨みました。彼が失敗しなければ、愛情あふれる母親と生きられるはずだったのに、その運命が閉ざされてしまった、と赤ん坊は思っていました。赤ん坊は憎しみを持って、生まれ変わって来ました。赤ん坊の心が伝わります。「今度はいっぱい愛して欲しいから。死んだ母親に代わって、あなたに愛して欲しいから」  それからというもの、ゲンタは酒浸りになりました。来る日も来る日もお酒ばかり飲んでいて、医者の仕事をしなくなりました。  ゲンタは梅里の実家に帰りました。母親一人が働きました。彼と父親は、毎日お酒を飲んではケンカをして、いがみ合っていました。  ゲンタの心がお酒で狂っていきます。三十三歳の時、彼は父を殺しました。そして自らも、ノドに釘を刺して死にました。ゲンタは思いました。 「これでお酒から逃げられる」  「私」はゲンタの魂に尋ねました。 「死んだ時に、何か決心したことはありますか?」  ゲンタの魂が答えました。 「もう二度とお酒は飲みません」  「それからどうなりましたか?」  「どんどん空にあがって行きます。雲の上で少し横になって休みます。それから、私を指導してくれる女性が近づいて来ました」  「その人は何と言っていますか?」  彼の魂が答えました。 「今までの人生の反省をしています。まず、ミスをきっかけにお酒を飲みはじめたことです。お酒に逃げるのではなく、あれを基にして、もっと偉大な医者になるはずでした。でも自分の弱さに負けてしまいました。もっと医学を勉強すべきでした。自信過剰になっていました」  指導者が続けました。 「謙虚になりなさい。今のあなたには謙虚さが必要です。人ばかり責めて、自分のことは棚にあげています。あなたがお酒に溺れていても、先生や妻はずっと暖かく見守ってくれていました。なのにあなたは実家に帰ってしまい、恵まれた環境を捨ててしまったのです。本当は、ご恩返しをすべきだったのに。  今回の人生でも、逃げることばかりを考えています。弱さを強さに変えなさい。その訓練をするのです。なかなか実行に移せないのはわかりますが、それは総ての人に共通なことで、あなただけではないのです。もっと努力しなさい。あきらめが早すぎます。持続性がないのです。  前回の療法の時にも、「忍耐が足りない」と言いましたが、未だにその意味がわかっていません。あなたがこれ以上、彼のことを責めたりすると、あなた自身が弱さに負けてしまいます。人を責めることによって、自分の弱さをカバーしているからです。弱さと正直に向き合いなさい。自分を受け入れなさい。もっとお父さんを信頼しなさい。  世の中を生きていくためには、猜疑心はあって当然です。それがなければ、善悪の区別がつきません。でもあなたは、猜疑心の使い方を間違っています。自分の身近な人に猜疑心を持つのではなく、もっと幅広く、浅く、使い分けなさい。私はあなたを見守っていますよ」  「私」は指導者に尋ねました。 「今回は、どうやって彼とペアーを組んだのですか?」  彼の魂が答えました。 「私は何回も生まれ変わって来ているのに、アルコールを克服出来たことがありません。それなのに、私を本当に愛して受け入れてくれてるのが彼です。もし他の人なら離婚されて、のたれ死にしてしまいます。今回も私のアルコール依存症を断ち切るために夫婦になってくれました。前の人生では義理の父で上司という、先生と生徒の立場だったけれども、力が及びませんでした。だから今回は夫婦になって、直接手助け出来るように生まれ変わってきました」  指導者が続けました。 「彼の広い心に感謝しなさい。もし今回、アルコール依存症を乗り越えられたら、もう来世では一緒の運命は歩まないでしょう。別々の運命を歩くことになるでしょう」  「では、私は彼と一緒に今回の人生を計画したのですか?」  「私はあまり細かい計画を立ててなかったのですが、彼は細かく計画してくれました」  「私」は指導者に聞きました。 「今回の私の人生は、ここまで順調ですか?」  「良くがんばっています。このまま乗り越えられますよ。ここまで良く乗り越えてますよ。お酒を止めたこの四年間は、きっと実りとなって、あなたの人生に還ってくることでしょう。今までは困難にぶつかると、お酒に逃げて乗り越えられなかったけれども、この四年間はしらふできちんと乗り越えてきました。その自分を誉めてあげなさいね」  「世の中のアルコール依存症の人は、みんな私みたいなものなのですか? 他の問題もあるのですか?」  指導者が答えました。 「アルコール依存症は心の病気です。あなたのような人がいっぱいいます。あなたは今回は、比較的軽い方です。他の病気を併発していませんから。もっとひどい人は、うつ病や薬物依存、拒食症などの病気をアルコールによって引き起こしています」  「あなたの指導者としっかり握手して下さい。どんな感じですか?」  「あったかいです。これからも私を見守って下さるそうです。」  そして私たちは指導者のもとを離れて、今、この時へと戻ってきました。 この症例の解説は著書「光の前世療法」をお読み下さいね(医院に在庫たっぷりとあります(^_^;)