2014年9月9日火曜日

おはようさん 2014.9.8.

今日は夢分流腹診のお話をしましょう。 先週の日曜日、腹診&打鍼をテーマにした北辰会の夏季研修がありました。 ドクターコースの内容は一昨年とまったく同じもの・・・腹診&打鍼自体がこの1年であまり進化しなかったということなのかもしれません。 でも、私自身が日々、診療の中で普通に行っている腹診&打鍼は、この1年で大きく進化しています。 また、腹診&打鍼の新たな活用方法を教えてくださる先生がたがおられるのも事実です。 そんな新たな腹診&打鍼を研鑽されている先輩がたとお話していると、胸がドキドキしてきます。 へえ そうなんだ! 先輩がたが腹診&打鍼されているビジョンがとてもリアルに目の前に浮かんできます。 日々、患者さんを通じて腹診&打鍼を行っているからこそ、チャンネルが通じ合えるのですね。 そんな私の腹診&打鍼は・・・ 最初に腹部全体をさっと腹診します。 教科書通り・・・脾募・肺募・肝相火・腎水などを診ていきます。 ただ、この所見はあくまで表在の異常しかつかめません。 本当の邪気がどこにあって、どんな悪血を作っているのか? 本当の邪気の親玉はどこにあるのか? それはさらに腹診&打鍼していかなければわからないのです。 さて、まず丹田に金の鍉針で火曳の鍼をすることから始まるのは同じです。 ただ、普通の北辰会の先生方よりも時間は長めです。 表層の氣を集めるだけでなく、身体の芯をゆったりと流れる氣も集めるからです。 次に鳩尾(CV15)から肋骨下弓に沿って章門(LR13)まで、さらに腸骨稜に沿って恥骨まで、太めの銀の鍉針でソフトに弱く打鍼していきます。 それは腹部全体へのごあいさつみたいな感じです。 お腹全体の表層の邪気を祓う意味もありますし、腹部の衛気の乱れを緩める効果もあります。 次に臍周をクルクル回りながら軽く打鍼します。 これは臍周の邪気を祓っておく意味もありますが、心身の中心へのごあいさつにもなります。 これで腹部(背部も)を通る経絡が活性化されて、経絡の異常が浮かび上がってきます。 次に左右の陽明胃経に沿って軽く打鍼します。 陽明胃経って大切ですよね。 多かれ少なかれ、どんな病気でもここに邪気が現れますから。 さぁ、これで準備完了! もう一度、腹部全体を診ていきます。 すると・・・いたるところに邪気が浮き上がってきています。 それをひとつひとつ打鍼で祓っていきます。 この邪気は腹部を通る経絡上にあります。 そして、邪気は次々に移動していきます。 ひとつを祓えば、その経絡の別のところに邪気が顔を出します。 またそれを打鍼で祓う・・・今度は別の経絡上に邪気が現れる・・・これを延々と続けていきます。 この邪気祓いを根気よく続けていくと、今日のこの患者さんの一番痛んでいる経絡が見えてきます。 そして邪気の親玉の居所&姿も見えてきます。 毎回、邪気を掌の労宮で邪気の姿を感じ取って、指先でピンポイントに居場所を定めます。 そして銀の鍉針で打鍼して祓います。 そしてまた腹診して・・・の繰り返しです。 打鍼する度に一々脈診はしません。 そのまま腹診すれば打鍼が効いたかどうかは丸わかりだからです。 第一、リズムが乱れます。 腹診&打鍼をテンポ良く続けていくからこそ、邪気の親玉までたどりつけるのです。 まるで牧羊犬が羊の群れを集めるように、あっちをトントン こっちをトントン しながら、邪気を親玉のところへと集めていくのです。 そして、邪気の親玉が見えたら・・・そこに(その経穴に)鍼をすれば良いのです。 この鍼は1本で十分に効きますよ。 私のこの腹診&打鍼で面白いこともわかります。 それは帯脈 belt vessel (BV)が、日々、その患者さんの体調や自然界の変化によって上がったり下がったりすることです。 もちろん章門(LR13)もかなり上下します・・・背候診すると督脈・太陽膀胱経で反応している経穴も帯脈に相関して(時には反相関も)動きます。 経絡経穴がダイナミックに躍動している姿に感動してしまいます。 腹診&打鍼で邪気がほぼ祓い終えれば、もう一度、丹田に金鍉針で火曳の鍼をして終わります。 そんなもん 夢分流ちゃうわ! とお叱りを受けるかもしれませんね。 でも・・・夢分流はこれだ!という確証はなく、いろいろな鍼流派でいろいろなことをやっているのが現状ですから・・・一番大切なのは目の前の患者さんの笑顔でしょう。 痛みが和らぐ、病気が楽になる、気分が良くなる・・・それが大切なわけです。 きっと夢分斎さんもどんどん活用して腹診&打鍼を高めていくことを喜んでくれていると思います。 前世物語 「ではオルヌさんの人生で、夫との関係が最もよくわかる場面に移ってください。何が見えますか?」 「真っ暗です。・・・ライバル同士みたいな感じで・・・今のところなにも出てきません」  何か事件があるのかもしれませんが彼女の潜在意識が彼女を守っていて、それ以上は見せてくれません。先生は場面を戻しました。 「結婚式の場面に戻ってください。アントニウスはそこにいますか?」 「見当たりません」 「オルヌさんの人生で、あなたが死ぬ場面に移ってください。あなたはいくつになって、どこで死にそうですか?」 「家の中にいます。六十才くらいです。病気で死にかかっています。胸が悪いのです。でも、そんなに苦しくはありません」 「死ぬ間際に、あなたは何を考えていますか?」 「もう死ぬんだなあ・・・」 「あなたは死んだらどうなる、と思っていますか?」 「生まれ変わります」 「あなたは次は何に生まれ変わろう、と思っていますか?」 「女性に」 「なぜ?」 「疲れました」 「何に?」 「権力、戦い、守ることにです。高度な社会についていくのが大変でした。働くばかりでした」 「そばに誰かいますか?」 「妻がいます」 「妻はどうしていますか?」 「泣いています」 「それを見て、あなたはどう思っていますか?」 「先に死んで申し訳ない、と思っています」 「あなたがアントニウスに最後に会ったのはいくつの時でしたか?」 「仕事で会いました。三十三才の時でした」 「彼は何の仕事をしていましたか?」 「やはり役人でした。建築の研究をしていました」 「その後、彼はどうなりましたか?」 「別れたままです。その後のことはわかりません」  やはり夫との関係のキーポイントはわからないままでした。先生は先へと進めました。