2017年3月1日水曜日

ごきげんさん 2017.3,1.

「舌癒着症の診察をしていただけますか?」というお問合せを月に数件いただきます。 舌癒着症の手術は11年前に、舌癒着症の大家 横浜 向井診療所の向井將先生に「西日本の舌癒着症治療の拠点になって欲しい」と依頼され、門真の奥山医院でも治療を始めました。 生後1ヶ月の赤ちゃんから60才過ぎの方まで、4年間に500例以上の手術をしましたが、 いろいろな事情が重なり、5年前からは術前・術後の診察のみ行ってきました。 心斎橋 奥山医院になってからは、舌癒着症を熟知しているスタッフがいないことから、診療はお断りしてきました。 去年秋頃から、舌癒着症のお問合せと術前診察のご希望をいただくようになり、診察だけなら・・・出来ますよ、ということで、術前診察をお受けすることにしました。 術後診察(特に赤ちゃんの術後)は、スタッフなしでは難しいので、引き続きお断りさせていただきます。 舌癒着症の術前診察は自由診療(赤ちゃん・大人共 5000円(紹介状代・税込)です。 舌癒着症の手術は、原則的に横浜 向井先生へ依頼します。 (舌癒着症研究会の関連施設以外へのご紹介はお断りさせていただきます←術者の力量が不明なため) 小児・大人(赤ちゃん以外)は、手術申込みまでに感染症検査(梅毒・肝炎・エイズ)が必要です。 奥山医院では院外へ血液検査を出していないため、かかりつけ医かお近くの内科医院などで別途検査していただきます。 舌癒着症って何? な方のために簡単にご紹介しますね。  舌癒着症は、舌・喉頭蓋・咽頭偏位(Ankyloglossia with Deviation of the Epiglottis and Larynx:ADEL)と言います。  この状態によって上気道の慢性的な狭窄が生じて呼吸が抑制され、新生児や乳児では、夜泣き、オッパイがうまく飲めない、飲むときにむせる、飲みながら眠ってしまう、鼻がつまる、いびきをかく等の様々な症状がでます。成人では肩こり、冷え性、昼間の眠気、慢性的な疲労感などの原因になります。  治療は、舌小帯と顎舌筋の前方を切断し、舌を後下方に移動させて、喉頭を正しい位置にして上気道を開放する手術(舌・喉頭矯正術)です。 ADELを正しく理解して手術を受けると、呼吸が楽になり、様々な症状が改善し、日常生活がより楽になります。 舌・喉頭蓋・喉頭偏位症の症状(新生児・乳児) 頭蓋:いびつ,三角,絶壁 毛髪:抜けやすい,薄い,立っている,両者の混合,ぴったとくっついている。 顔面:こめかみ陥凹,眉と睫毛が薄い,眼周囲が腫脹,頬部下膨れ,眉間に皺。 口腔:舌背が白く角化している,硬口蓋が高い,泣き声が濁っている。 喉頭:声帯ポリープや黄疸がある場合も多い,喉頭軟化症。 皮膚:チアノーゼ,大理石様皮膚,冷たい,唇の色が悪い,顔色が悪い,額が黒っぽい,黄疸が遷延,手足が冷たい。 躯幹:胸部陥凹,腹部膨満,陰嚢がだらんとしている,ガスっぽい。 手:冷たい,指は伸ばしたまま,もしくは小指を立てている,指が細い,動きが少ない,物を握ってもすぐ落としてしまう。 足:足指は反っている。指が細く足が薄い,立たせてもあまり跳ねない,あまり動かさない。股関節が硬い。 生活:不活発でコミュニケーションが良くとれない,抱き癖がある,鼻閉様呼吸音,あくびを良くする,視線が合わない。 哺乳:寝てしまう,むせる,哺乳中おっぱいを突然はなす,よく吐く,空気をよく飲込む,母親の乳房に障害を与える,母乳が出なくなってしまう,母親の月経が早く始まってしまう 睡眠:寝つきが悪い,腕の中で眠っていてもベッドへおくとすぐ目を覚ましてしまう,眠りが浅い,鼾をかくもしくは呼吸音が荒い,睡眠中無呼吸,睡眠中に身体を急に動かしたり笑ったりする,指・おっぱい・あるいは物をしゃぶりながらでないと寝ない。 涕泣:頻回に泣く,泣き声が苦しげで弱々しいまたは疳にさわる,長泣きをする,泣いている理由が分からない,泣いているときに無呼吸になることがある。 その他 硬い鼻くそがたまる,筋の異常緊張がある,抱きにくい、脈拍が多い,喋りはじめが遅い。