2016年11月29日火曜日
ごきげんさん 2016.11.29.
アトピー性皮膚炎の美容師さんが再診してくださいました。
前回、漢方薬を処方したところ、遅発性の薬剤アレルギーで蕁麻疹が出てしまった方です。
もちろん、漢方薬は中止していただき、蕁麻疹は治まりました。
漢方薬のほとんどは、5種類以上の薬草を刻んで、煎じて、そのエキスを顆粒にして製剤化されています。
漢方薬で蕁麻疹などの薬剤アレルギーが出ることは稀なのですが、処方する側としては「出るかもしれない」は想定内でなければいけません。
漢方薬でアレルギーが出た場合、やっかいなのは、どの薬草が原因なのか?を解明しづらいことです。
ひとつの薬草なのか? いくつかの薬草の相互作用なのか?
ちなみに今回の蕁麻疹型の薬剤アレルギーの原因となった漢方薬の保険適応病名のひとつが「蕁麻疹」なのは因果を感じさせます。
もうひとつ、漢方薬の薬剤アレルギーでやっかいなことは、瞑眩反応があることです。
瞑眩反応は好転反応とも呼ばれ、漢方や鍼灸の施術によって、交感神経ー副交感神経のバランスが急激に整ったり、心身に蓄積していた老廃物・悪血・邪気・水毒などの排泄浄化が起こるために、症状が一過性に悪化したかのように見える反応です。
アトピー性皮膚炎の場合は、皮膚に溜まったステロイドの老廃物が悪臭のあるジクジクとした分泌物としてアトピーの皮膚からあふれ出てくる瞑眩反応が有名ですが、蕁麻疹も十分にあり得ます。
この患者さんのアトピーは、乾燥性で手と肘と首まわりに限局していますので、漢方の服用は中止したまま、紫雲膏塗布の対症療法で様子を見ることにしました。
もちろん紫雲膏にはステロイドや免疫抑制剤などは混入していません。
紫雲膏は、華岡青洲先生が創作した軟膏で、紫根・当帰・蜜蝋・胡麻油・豚脂から成っています。
紫根は火傷後の皮膚新生にとてもよく効くことを、30年ほど前に、ある老医に見せていただきました。
顔を大火傷した若い女性に毎日、紫根エキスをたっぷり染み込ませたガーゼで顔を覆い尽くす処置を1ヶ月間行って・・・赤紫の煎餅のようになった火傷の皮膚がパリパリとはがれ落ちると・・・見事にケロイドも色素沈着もない元の美しい顔に戻っていました。戦前時代の色素療法です。
蜜蝋は、脳外科手術の必需品で、これがないと開頭術ができません。人間の皮膚と骨にとても親和性があります。
この患者さんのアトピーに触れていると、ある局所に氣血の強い滞りが感じられました。
その滞りを労宮鍼すると・・・アトピーの声が感じられてきました。
「ホメオパシーで手と肘と首を清めて欲しい」
その声は、バッチレメディのレスキューで良い、と言っていました。
バッチレメディの知識は20年前からありますが(かなり勉強しました)、レスキューをお薦めするとは自分でも思ってもみなかったことです。
その声の通りのことを、レスキューの知識と共に患者さんにお伝えしました。
皮膚は第二の脳と言われています。
皮膚に触れることは、その人の脳に触れることだとも言われています。
皮膚と繋がる、話をするとはこういうことなのか・・・とても良い実践をさせていただけました。
病気の治し方は、患者さんが教えてくれる。
その言葉の深い意味がわかりました。
日々是精進ですね。