2008年5月12日月曜日

在宅酸素療法のお話

在宅酸素療法のお話

 舌癒着症の治療を始めて、あらためて呼吸の大切さを実感しています。
 赤ちゃんでは、浅黒や青白、遷延性黄疸が1週間ほどで消えてしまったり、手足が温かくなったり、髪の毛が生えてきたりと、呼吸が全身の症状に深く関係していることがわかりました。
 また大人でも、うつ気分が改善して、無理しなくても笑顔になり、人生が明るくなった方々を見ていると、呼吸は心にも大きく関係していると言えます。
 最近、生活習慣病の高齢者の方々を診ていて気づくのは、呼吸が悪くなってきた方が増えていることです。
 タバコを吸う人はもちろん、吸わない人でも、血中酸素飽和度や肺機能検査をすると、慢性的な肺機能低下から血液中の酸素が不足している人が多いのです。
 病名は、肺気腫、無気肺、慢性気管支炎などになりますが、息苦しさや痰や咳を自覚していなくても、肺機能低下と酸素濃度の低下が起こっている人もいます。
 慢性的な酸素の欠乏は、脳の機能にも影響を及ぼしてしまいます。物忘れやボーとする「ボケ症状」に酸素吸入が効果的なことは、巷に酸素バーやベッカムカプセルが増えていることからも明らかです。スポーツ選手が酸素ボンベでリフレッシュしている姿をテレビで見たことがある方も多いでしょう。
 物忘れなどの軽いボケ症状の方に詳しい肺機能検査をすると、潜んでいる肺気腫や慢性気管支炎が見つかることがあります。そんな時に在宅酸素療法を導入すると、身体が楽になり、心にも元気が出てきて、脳もちょっぴり若返ってくることが期待できます。
 舌癒着症治療から図らずも呼吸の専門家になりましたが、その恩恵を通院されている方々にも広く受け取っていただきたいと思っています。