2011年1月29日土曜日

おはようさん 2011.1.29.

寒さ厳しいけど、なんだかとっても静かで穏やかな朝です。
おはようさん!
中医学の目で認知症(痴呆)を眺めました。
(漢方専門医資格更新のためのレポートを毎夜、捻りはちまきで書いてます。♪今日で終われそうなんだぁ♪)
腎・脾・肝・肺・心
電気を気血津液に例えれば、腎は発電所、脾は送電線、肝は町の人たち、肺は鉄道、心はみんなの気持ち・・かな。
加齢老化は発電所も送電線もオンボロになったけど、町衆も年取ったし、電車も遅れるし本数も減ったけど電車乗って遠出することも少なくなったし、まぁ、それなりに「いいんじゃない」な感じです。
対処法は柔らかくモチベーションを上げましょう。老人の生きがいアップですね。
たまにはお祭りでもしましょうよってサーカス呼んでくる感じがいいですね。
元気いっぱい笑いいっぱいのサーカスっぽい生薬ぞろいの漢方がお薦めです。(詳細1)

発電所は水力発電だからいつまでも大丈夫だけど、送電線がボロボロで。でも町衆の気持ちも萎えていて「夜は停電してもいいんじゃない。どうせ早く寝ちゃうから」「TVも面白い番組ないしデジタルなんかめんどくさいよ」なんて調子で。
対処法は送電線をもうちょっとパワーアップしましょう。
そしてTV番組や図書館を充実して彩りあふれる興味と話題でいっぱいにしましょう。
ローカル線ののんびり旅番組なんかいいですね。
町の彩りが戻ってくる漢方がお薦めです。(詳細2)

町衆が怒っています。停電ばかりや!電車が来ないぞ!みんなイライラ、わがまま文句ばっかしで。お前が悪い、アイツが悪い、町が悪い、悪い悪い悪い!
対処法はお引っ越し・・・はムリだから、発電所と送電線をとりあえずできるところまで修繕して、電車ももうちょっとしっかり走るようにして、町に緑を増やして、たまにはビール大会やカラオケ大会でうさばらししましょう。
町のみんなのストレス&イライラが解消できるような漢方がお薦めです。(詳細3)

さて年月が過ぎて、発電所がいよいよ老朽化激しくなり電気がつくのが珍しくなってきました。でも町の人たちは晴耕雨読で早寝早起き。まぁ、こんなもんよって超スローライフです。
対処法は、たまに孫たちが訪ねてきてくれたり、おいしいものが届いたりで、楽しいこと、うれしいことがあればいいですね。(詳細4)

発電所はぎりぎりなんとか動いてくれてるけど、送電線はあっちこっちで切れて垂れ下がったままで。でも、もう修繕する気力もないんです。昔はよかったなぁって思い出すこともたまにあるけど、もうみんな忘れてしまいましたよ。だから、いいの。このままで。
対処法は、本を読んだり音楽を聴いたりできる最低限の夜の灯火とお手紙を運んできてくれる電車の便は確保できるように修繕しましょうね。(詳細5)

とうとう下水道が動かなくなりましたよ。困りましたねぇ。どうしましょうか。でも、町衆はどうしようか決められません。まぁ、しゃぁないなぁとブツブツ呟きながら空を見上げるだけです。
対処法は、送電線を修繕して下水ポンプを動かすことですね。そのために、町衆にはもうちょっとやる気になってもらいましょう。(詳細6)

あれれ、ゴミ処理までダウンしちゃいました。町はゴミだらけです。電気もつきません。だれも来ないゴーストタウン。みんな廃人のようにしゃがみこんで動きません。
対処法は、まずゴミ掃除。外から応援部隊に来てもらいましょう。灯りをつけて、音楽鳴らして。きれいになれば、きっと笑顔も戻ってきますよね。(詳細7)

痴呆の生薬漢方に共通するのは「丹参」です。
「丹参」とは、中国産のサルビアの根および根茎です。ドロドロの血液をサラサラにし、血管のつまりをなくする、非常にすぐれた効能をもっており、中国では古代より利用されてきました。
痴呆の原因はいろいろありますが、昔の人たちも脳血流(血液と酸素の取り入れと二酸化炭素や酸化物の排泄)が大切だということを知っていたのですね。
古代の人たちは望遠鏡や人工衛星などなかったのに、宇宙のことも身体のことも直感的にわかっていました。現代の理論淵理学や先端医学を概念的にわかっていました。
漢方の世界もエビデンス至上主義になりました。
臨床体験や感覚的なものは相手にされなくなってきて、実験では? 理論的には? 統計的には? オンリーです。
でも、それでいいのかな? って個人的には悲しいです。
身体も生き物。病気も自然のひとつ。
エビデンス一辺倒で押しまくってるとバランス崩れそうな気がします。
サッカーでフォワード11人みたいに・・・
アメフトでパスばっかりみたいに・・・
自然に闘いを挑むのではなくって、自然と調和して癒していきたいなと思います。
西洋医学はエビデンスでオーケー。
でも漢方治療は感覚的&スピリチュアルでもオーケー。
そんな陰陽な治療をしていきたいと思います。
(この国が<医療官僚たちが>許してくれるは果たしていつまでぞなぁ・・・)


<詳細1>
老化により腎精が不足し髄が脳を十分に栄養できなくなると腎虚の痴呆となる。記憶計算分析力の低下、行為障害、精力低下、腰膝の無力感、眩暈耳鳴、艶のない頭髪、歯の脆弱化、淡紅舌を伴う。補腎填精、養髄健脳を主治と補腎益気湯「老年痴呆症之西中医診断与治療」(胎盤粉・熟地黄・山萸肉・山薬・亀板膠・豚脊髄・何首烏・遠志・丹参・川弓・鬱金・石菖蒲・五味子・黄耆)または六味丸(乾地黄・山茱萸・山薬・沢瀉・牡丹皮・茯苓)合冠元顆粒(丹参、紅花、川芎、芍薬、木香、香附子)を処方する。 胎盤粉・熟地黄・山萸肉・山薬・亀板膠・豚脊髄は脾腎を強め精血を補して脳髄を満たす。 何首烏・遠志は心血を補し心神を安定させる。 丹参・川弓・鬱金は行気活血し脳循環を改善する。石菖蒲は脳竅を清利し脳機能を回復する。五味子・黄耆は気陰を補し気陰の消耗を防ぐ。冠元顆粒は近年の研究で血小板凝集抑制作用や脳微小循環改善作用、抗酸化作用が報告されている。六味丸は「小児薬証直訣」巻下に「地黄丸」として記載され「腎怯にして失音し、開いて合さず、神不足にして、目の中の白晴多く、面色白などを治す方。」とある。

<詳細2>
脾は「意」「思」を主り、心は感情・思考・意識・判断など「神明」を主る。心脾が損傷し気血が脳を栄養できなくなると、忘れっぽい、自発性欠如、落ち込み、意欲喪失、緩慢動作、頭の回転が悪いなどの痴呆を呈する。顔色不良、倦怠感、息切れ、多夢、眩暈、舌淡歯痕などを伴う。この気血両虚には益気健脾、養血健脳を主治とし益気補腎寧心湯「現代中医内科学」(党参・黄耆・茯苓・山薬・鶏血藤・阿膠・丹参・酸棗仁・遠志・生地黄・熟地黄・山萸肉・沢瀉・五味子・亀板)や加味帰脾湯合八味丸、加味帰脾湯合海馬補腎丸を処方する。

<詳細3>
元来の頑固で自己中心的な性格がもたらす肝鬱が老化で悪化すると気が脳髄へ巡らなくなり肝鬱の痴呆を呈する。肝鬱気鬱は人格障害を悪化させ、忍耐力と集中力の低下、いらいら、鬱、猜疑心、胸脇脹痛、不眠を招く。この肝鬱の痴呆は疏肝解欝、補腎活血を主治とし柴胡疎肝散(柴胡・芍薬・香附子・枳実・川芎・梔子・甘草・青皮・乾生姜)や四逆散合六味丸を処方する。

<詳細4>
更に腎精不足が悪化すると、知能減退、恍惚表情、言語表現力低下、鬱傾向、眩暈耳鳴などの脳髄の腎精枯渇症状を呈する。腎精虚になると骨を養営できず易骨折に至る。この腎精枯渇の痴呆は補腎益精、養髄健脳を主治とし還少丹「医方集解」(熟地黄・山薬・山茱萸・枸杞子・亀板膠・制何首烏・牛膝・川弓・丹参・黄耆・肉従蓉・遠志・石菖蒲)または六味丸を処方する。

<詳細5>
更に腎精不足が悪化すると、知能減退、恍惚表情、言語表現力低下、鬱傾向、眩暈耳鳴などの脳髄の腎精枯渇症状を呈する。腎精虚になると骨を養営できず易骨折に至る。この腎精枯渇の痴呆は補腎益精、養髄健脳を主治とし還少丹「医方集解」(熟地黄・山薬・山茱萸・枸杞子・亀板膠・制何首烏・牛膝・川弓・丹参・黄耆・肉従蓉・遠志・石菖蒲)または六味丸を処方する。

<詳細6>
脾胃の損傷で憎悪した痰濁は脳竅の清気を阻害し、知能減退、恍惚表情、独語、異常な泣笑、鬱傾向、涎、食思不振、胸腹脹悶、舌淡白苔膩を呈する痴呆となる。この痰濁による痴呆は健脾化痰、益気開竅を主治とし指迷湯「弁証録」(人参・白朮・茯苓・半夏・竹茹・胆南星・貝母・石菖蒲・鬱金・遠志・枳実・縮砂・丹参・紅花)や竹茹温胆湯を処方する。

<詳細7>
瘀血が経絡を阻害し気血循環が悪化して脳虚血を来すと知能減退、恍惚表情、異常な泣笑、驚愕、頭痛、唇暗、半身不随痺れを呈する痴呆となる。この瘀血による痴呆は活血化瘀、養脳開竅を主治とし、通竅活血湯「医林改錯」(桃仁・紅花・川弓・赤芍・丹参・枳実・鬱金・麝香・石菖蒲・当帰・何首烏)や通導散を処方する。