2018年5月13日日曜日

ごきげんさん 2018.5.13.

(つづき)  そこはアトランティスの世界でした。彼の夢が伝えたアイデアがすべて現実化されている素晴らしい世界です。そこに生きる人たちの顔立ち、身長、体格、プロポーションは今と同じくらい多様性がありましたが、褐色の肌と黒髪と茶色の瞳の人だけしか見えず、ひとつの言語しか聞こえてきませんでした。彼の夢では同じ肌と髪と瞳であっても、ひとりひとりの波動とオーラがとても個性的なので、ひと目で誰だかわかったそうです。  彼がリアルになった夢の中で驚いたのはテレパシーでした。誰かと会話していても、言葉として聞こえてくる数倍の情報と感情が、眉間から脳とこころに直接流れ込んでくるような感覚を覚えました。それは相手が目の前にいない時でも可能でした。ただ繋がりたい相手のことをこころに念じるだけで瞬時に繋がることができました。もしこちらからテレパシーを飛ばしても、相手が今はダメだと感じたら繋がることはできませんが、後で相手に時間ができればこちらの想念を読み取ることはできました。波動の高さがシンクロしなければテレパシーは繋がらないので、現代のメールやネットに似てはいますが、すぐに読まないとか返事を返さない云々でトラブルが起こることなどありませんでした。  彼が見たアトランティスには、小さなケガはありましたが病気はありませんでした。誰もが自分の身体のことをとてもしっかりと理解していました。テレパシーと同様に自分の身体の声が聞こえるのです。  毎朝、目覚めた時、もし身体のどこかに未病が現れていたら、その部位からの声が聞こえてきます。その声は病の警告だけでなく、病を治すために今やるべきことを教えてくれました。病の部位だけでなく、身体中の臓器や関節、皮膚などからも病を治すための声が聞こえてくるので、その日に食べるべき食材、運動と休息、訪れるべきヒーラーといった声の指示通りに過ごせば病はすぐに治ってしまいました。  アトランティスの人々も老化はしましたが、現代よりもずっと老化の進行は遅く、寿命は300才から600才、中には800才を超える人もいました。もちろん寝たきりや認知症などを患う人はひとりもいませんでした。老化と年齢の壁を越えたアトランティスの人たちにとって、見た目はまったく意味をなさなくなり、そこは多くの体験と精神的に深い学びを得た人ほどリスペクトされる世界でした。必然的に老人ほどリスペクトされモテる世界でしたので、若者たちは寸暇を惜しんで勉学、運動、旅、仕事に勤しみました。  アトランティスでは、さすがに日常の小さなケガはありましたが、大きなケガや事故は予知力が働くのでほとんど起こることはありませんでした。  この予知力を基にして占星学や易学、手相や人相学(波動オーラ学)などが編纂されていきました。現代とは逆で、予知して避けることのできた事象と大自然や宇宙の理との関係をダイナミックに考察していく学問で、特に男性に人気がありました。  アトランティスで唯一恐れられていた病は、予知力やテレパシーや神通力が使えなくなってしまう病でした。アトランティスだからと言って失恋や嫉妬がなくなったわけではありません。特に若い内は自我をコントロールすることができずに失恋や嫉妬をしてしまうことも多々ありました。このような若さゆえの病は心配要りませんが、時に何ら精神的にも自我にも問題はないのに、この病を患ってしまう人がいました。数日〜数週間の短期の病は、アトランティス人の麻疹のようなもので多くの人たちが経験しましたが、時に数年も患ってしまう人もおり、その病の詳細な原因も何千年にも渡って研究されてきましたが、結論は得られないままでアトランティスは終わってしまいました。 (つづく)