2008年8月3日日曜日

崖の上のポニョ

新しい一元性の世界の幕開けにふさわしい最高傑作です

この映画には正邪がありません。
憎しみ、嫉妬、悲しみなどのネガティブな感情を一切使わずに、喜び、感謝、幸せといった「今を生きる」エネルギーの美しさを高らかに歌い上げています。
この町の人たちは、日本中、どこにでもいる人たちです。
誰もが持っている優しさ、思いやり、感謝、うれしさ、幸せの感性がオセロのように表返って、みんなとどこかで通じ合っている人たちです。
そんな町の海にはポニョがいて当り前だし、山にはトトロが暮しているでしょう。

ポニョが人間の女の子になったって、みんなはポニョちゃんとしてそのまま素直に受け入れてくれる・・・それは人をあるがままに素直に受け入れてしまうということ。
善悪・正邪・白黒などの思い込みの評価を手放して、その人となりを光と影のどちらもひとつとして受け入れられることです。
この映画は、そんな新しい一元性の世界の普通の人々が暮すどこにでもある町を美しく描き出した傑作です。

宮崎駿監督が、こちらの世界を見事に描き出してくださったことに深く感謝いたします。

しばらくの間は、評価が二分されてしまうでしょう。
そして数年の後には、こちらの世界では、誰もが大好きな映画になっているでしょう。