2010年11月18日木曜日

不元気病 LOH症候群

「なんだか疲れやすい」「気力も食欲もイマイチ」など、最近まで元気だったのに、ある時期からめっきり年をとったように感じてしまうことがあります。
それは決して年のせいではなく、「LOH症候群」という病気かもしれません。
LOH症候群は、推定600万もの人がこの症状に陥っていることが分かっています。
LOH症候群を放っておくと、うつになってしまう危険が非常に高く、認知症・がん・心臓病などで死亡するリスクも飛躍的にアップしてしまいます。
LOH症候群(ローショウコウグン)…加齢男性性腺機能低下症候群

LOH症候群の原因は、体内の男性ホルモンが減少することです。
それさえわかれば、身近な方法で予防・対策をすることが可能です。

元気がでない理由は男性ホルモンの不足
LOH症候群の原因は体内の男性ホルモンが減少することです。
男性ホルモンの代表格「テストステロン」は、普通の人でも年齢とともに少しずつ減っていきますが、減り方は非常に個人差が大きく、中年になった途端に老けこむ人がいる一方で、60代・70代になっても若々しさを保てる人がいるのは、テストステロンの量が大きく関係しています。

男性ホルモンが低下する最大の原因
男性ホルモンが減ってしまう最大の原因はストレスです。
働き盛りの40代~50代の男性の方が、仕事を退職した人を含む60代男性よりも男性ホルモンの量が少ないという結果が調査でわかっています。
ストレスの受け止め方は人それぞれですので、例えば仕事で失敗した時、それを「発奮材料」とするか、「ストレス」で終わらせてしまうか、この小さな違いがLOH症候群になるかならないかを左右することもありえます。

また、男性ホルモンが減少すると、脳のストレス耐性が低下すると考えられています。
このため、ストレス→男性ホルモン低下→ストレス耐性の低下→ストレス→男性ホルモンの低下という悪循環が起こってしまう恐れがあり、LOH症候群となって引き起こされるうつ症状は、うつの治療だけでは治らず、LOH症候群の治療が重要と考えられます。

LOH症候群の最新治療
LOH症候群の主な治療法は、男性ホルモン補充療法です。LOH症候群や徴候を有する40歳以上の男性で、血液中の遊離型テストステロンが低下している場合、男性ホルモン補充療法が受けられます。ただし、前立腺がんのある人や多血症の人などは、男性ホルモン補充療法の対象から除外されます。

LOH症候群診療の手引きでは、男性ホルモン補充療法の適応として、血中遊離テストステロン値が8.5pg/ml未満の場合としています。本邦で現在、使用可能なテストステロン製剤は、注射剤としてのエナルモンデポ(エナント酸テストステロン)、グローミンなどの男性ホルモン軟膏があります。

男性ホルモン補充療法の副作用としては、貧血の逆で赤血球が増える多血症、睡眠時無呼吸症候群の悪化、まれではあるが肝障害などがあります。男性ホルモン補充療法により前立腺癌の発生が増加したという報告はありませんが、一般的に前立腺癌の腫瘍マーカーである前立腺特異抗原(PSA)が血液検査にて2ng/ml以上では男性ホルモン補充療法は行いません。

LOH症候群とED治療
患者さんが勃起障害を伴う場合、ご希望があればバイアグラ、レビトラ、シアリスなどのPDE5阻害薬を処方します。PDE5阻害薬により、勃起機能の改善のみならず、早朝勃起の回復が患者のQOLを回復させ、また、血清テストステロンが上昇することが報告されています。補中益気湯などの漢方製剤も男性更年期患者には有効と考えらます。補中益気湯は血清テストステロン値を上昇させ、コルチゾールを低下させることが報告されています。


脳が作るテストステロン
主に精巣で作られるテストステロンですが、最新の研究で、脳の中で合成されることがわかりました。
テストステロンは、脳の中で認知機能に関わる重要な働きをしていると考えられています。
活発に脳を使い、脳のテストステロン合成を高められれば、認知機能低下の予防やストレス耐性の維持が期待できると専門家は考えています。

たまねぎでテストステロンUP
たまねぎに含まれる含硫アミノ酸が、テストステロンの合成を誘導すると考えられています。
マウスに4か月間、たまねぎのエキスを与え続けたところ、血液中のテストステロン量が約2倍にアップするという研究報告があります。
たまねぎの中には、切って時間がたつと、含硫アミノ酸を分解してしまう酵素がありますが、熱に弱いため、切ってすぐ加熱すれば、含硫アミノ酸の分解は最小限に抑えられます。
テストステロンのアップが期待できる食べ方…「切ってすぐ加熱すること」

その他、テストステロンの減少を防ぐには、ストレスをなるべくためない生活を送ることと睡眠を十分とることが重要です。


LOH症候群チェックシート
なし…1点、軽い…2点、中等度…3点、重い…4点、非常に重い…5点で計算する。
【重症度の診断基準】17~26点…なし、27~36点…軽度、37~49点…中等度、50点以上…重度

(1)総合的に調子が思わしくない
(2)関節や筋肉の痛み
(3)ひどい発汗
(4)睡眠の悩み
(5)よく眠くなる、しばしば疲れを感じる
(6)いらいらする
(7)神経質になった
(8)不安感
(9)からだの疲労や行動力の減退
(10)筋力の低下
(11)憂うつな気分
(12)「絶頂期は過ぎた」と感じる
(13)力尽きた、どん底にいると感じる
(14)ひげの伸びが遅くなった
(15)性的能力の衰え
(16)早朝ぼっきの回数の減少
(17)性欲の低下